雨乞いの火種 七草すばこ様

【タイトル】 雨乞いの火種

【作者】 七草すばこ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921878086


 こちらに登場する双子は一卵性、姉妹双子です。周囲からは見分けがつかないほどにそっくり。しかし性格はまるで違います。


 視点主であり姉のアザミは真面目な印象で、破天荒な妹のスミレに振り回されています。アザミを振り回しているスミレは言動がふわふわしている不真面目な印象ですが、やる気になったらアザミよりも器用に立ち回れるタイプです。

 外見がそっくりなためスミレが奇抜な行動をとるたびに間違われるアザミ。自分がやったわけじゃないのに、同じようにみられる葛藤。スミレはどちらかというと感覚肌の天才タイプで、アザミは努力型秀才タイプという違いもアザミのコンプレックスになっているようです。


 まさに一卵性双子! という感じで大変美味しい! これぞ双子の醍醐味だな。王道双子だなあとウキウキしながら読みました。


 ですが実際問題、そっくりな姉妹と比べられるというのは相当なストレスでしょう。しかもここには恋の問題も絡んできます。

 そうアザミは初恋真っ最中なのです。


 そうなるとスミレの存在はアザミにとって懸念材料でしかありません。なにしろ見た目そっくりです。スミレの印象がそのままアザミの印象になってしまいかねません。

 しかもスミレは強引な手段をつかってアザミの背中を押し始めます。ここだけ見たら姉を応援するかわいい妹ですが、今までのスミレの言動からアザミは疑念を持ちます。スミレ、一体何をたくらんでいるんだ。と。


 そんな風に視点主であるアザミがスミレの行動を疑っているので、読んでいる私もドキドキしながら読みました。振り回されるアザミの心境がよく分かるため、感情移入もばっちりです。

 そのため自然とアザミを応援していますが、スミレも嫌いにはなれません。なにを考えているのかよく分からないのですが、どこか憎めない絶妙なバランスのキャラクターだと思います。スミレみたいな子好きです。


 この二人のお話もっと読みたいなあと思いましたが、こちら短編作品です。もっと読みたかったなー(二回目)

 ですが、短くとも十分に双子の魅力は伝わる作品だと思います。


 一卵性双子は美味しいです!

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