第52話
【アサヒ視点】
今ならツヨシを殺せる。
ツヨシは剣に特化している。
だが魔力に能力値をそこまで振っていない。
つまり、魔法攻撃に弱い。
さらに今は傷を負っている。
精々ポーションでじわじわ回復する事しか出来ない。
特化した剣士は剣だけは強いよ。
でもそれだけだ。
僕は後ろからファイアを何度もヒットさせた。
僕は勇者の固有スキルで魔力が高くなっている。
更にレベルも上がった。
魔法攻撃の威力は増している。
「てめえ!殺すぞ!」
剣聖ツヨシが反転して迫って来る。
僕は後ろに下がりながらファイアを使う。
迫ってくるツヨシにファイアがヒットした。
「ぐあ!アサヒいいい!」
「はははは!勇者である僕の力には勝てないようだね!」
「卑怯者が!ケガさえなきゃ余裕なんだよ!」
「ケガが痛そうだねぇ、それに疲れているようだ。女を捕まえる為の奇襲は疲れたんだろう!!僕に内緒で女を楽しもうとした罰だよ!ハハハハハ!ファイア!ファイア!ファイア!」
「や、やめろ!」
「動けない剣聖はただの雑魚だよ!!ファイア!ファイア!」
「我の庭で何をやっている!!」
スティンガーか!
タイミングが悪い!
今は逃げよう。
僕はスティンガーが近づく前にその場から逃げた。
あと少しだったのに、く。
【スティンガー視点】
「遠征から帰ってみればツヨシとアサヒの喧嘩か」
「あ、あいつ、ここを襲撃したファルナの兵との戦いで負傷した俺を、殺そうとした」
「ファルナは無事捕まえたか?」
「ああ、だが、奇襲を受けている」
「すぐ向かう。舐めたマネをする者は我の槍で殺す!」
現場に向かうと、アオイと豚が我が兵と闘っていた。
アオイ、実に良い。
あの気の強そうな目、あの目をメスに落とすのがたまらん。
氷のような薄い青の髪が腰の近くまで伸び、目も薄い青色だ。
少し華奢に見えるが、体の凹凸ははっきりしており実に良い女だ。
見た目は極上。
堪能できそうだ。
「状況は!?」
「捕獲した、ファルナ以下、はあ、はあ、女に逃げられました」
「お前は下がれ!アオイが居るか。あいつでいい」
「ぼ、僕はそろそろ、か、帰るよ」
「あ、あんた!何言ってるのよ!」
うむ、気は強そうだが、良い声だ。
ベッドでもいい声で鳴くだろう。
「あ、後は任せるよ」
豚が下がっていく。
「豚は捨て置け!アオイを包囲しろ!アオイは槍使いだ!定石通りアオイの縦に並ぶな!槍は直線には強いが横範囲への範囲攻撃は無い!!アオイを包囲しろ!」
「1体1で戦いなさい!」
「我はラビット一匹狩るにも全力を尽くす!包囲して気絶させろ!」
兵がアオイを囲んで攻撃する。
我はアオイと兵の戦いを見守った。
アオイは周囲を警戒しつつ戦った。
動きにくいだろう?
やりにくいだろう?
それでもアオイは何度も包囲を突破しようとする。
その瞬間我はアーツスキルで足を止めた。
長い距離の突撃突きが出来るロングスティングだ。
「逃げられん!ロングスティング!」
「く!殺す!」
アオイの足が止まった瞬間にまた兵に包囲される。
我を警戒しながら戦うのは疲れるだろう?
我から目を離さず、包囲した団員と闘う。
くっくっく。
集中力は一気に削られる。
だが、兵が5名やられたか。
実に良い。
丈夫な体は好都合だ。
「スティンガー様!どうかお力をお見せください!このままでは団長の手が不足します」
あまり兵が居なくなると我の駒が無くなるか。
「うむ、頃合いか。包囲したまま下がれ。我が相手をする!」
「さて、素早いようだが敏捷に多く振っているのか?だが、そろそろスタミナが切れる頃合いだろう」
「はあ、はあ!く、殺す」
「ふむ、同じ槍使いとして勝負してやろう。アオイ、おまえが負ければ、我が飼って楽しんでやる」
「変態が!」
「異端者のお前に言われたくはない!」
「何を言っているか分からないわね!」
「時間稼ぎは終わりだ。すぐ始める」
アオイが槍を構えて突撃してくる。
「んん?どうした?アーツは使わんのか?ああ、使えないか!もうMPが無いんだったな!」
「く、殺す!絶対に殺す!」
その瞬間アオイの後ろから兵が攻撃を仕掛けた。
「くう!」
アオイが何とか躱す。
だがその瞬間を見逃さない。
「ショートスティング!」
短距離の突撃攻撃アーツでアオイを突き刺す。
「ロングスティング!」
更に長距離の突撃攻撃でアオイに大ダメージを与えた。
「く、卑怯者!」
「くくく、今度は夜も突いてやろう」
「変態!」
「威勢がいいが、紋章と媚薬で、自分から女の喜びを求めるようになる、お前の時間稼ぎは終わりだ。ショートスティング!ロングスティング!」
アーツのクールタイムが回復した瞬間にアーツのコンボでアオイを追い詰めた。
「ふー!ふー!」
「包囲せよ!」
我と兵で包囲し、アオイを倒した。
アオイに媚薬を振りかけ、笑う。
楽しみだ。
じっくり漬け込んでやる。
「今回の奇襲でファルナを奪還されたと言う事で間違いはないか?」
我は兵を睨みつけた。
「は、はい!申し訳、ご、ございません!」
「所で、アサヒとツヨシが戦っていたようだが、原因は分かるか?」
「奇襲に居あわせたアサヒをツヨシが挑発しました。その影響ででファルナ兵との戦いの始まりと同時にアサヒが我々にブレイブアーツを放って来たのです!」
「そうか、ツヨシ、前に出ろ」
「な、なんだ?」
「アサヒとお前の仲が悪い事は知っている。喧嘩はするなと命じた。だが何故挑発したのだ?お前の挑発が無ければファルナを奪われる事も無かったかもしれん。アサヒのブレイブアーツの特性は知っているだろう?お前は我の楽しみを奪った」
「お、おれは、スティンガーの旦那、待ってくれ」
その瞬間にツヨシを殴る。
倒れたツヨシに馬乗りになってさらに殴る。
ツヨシがうめき声を上げても殴る。
動かなくなるまで殴って手を止めた。
「奇襲の中で強者は居たか?」
「は!アオイとあの豚であります!」
「それ以外は?」
「ツヨシと同程度の強さと思われる男が居ましたが、それ以外は我らの敵ではありません!ただ、奴はシャドーバインドで我らの動きを一瞬封じました」
団員を拘束できるほどの能力値か。
「レベル60の能力値はあるか。いや、70か80程度、その男はアオイや豚ほど兵を殺したか?」
「い、いえ。数名程度かと」
我は副官に目を向けた。
「今から部隊を指揮し、ファルナを狩ってこい!ファルナと見目の良い女は殺さず捕らえよ!以上だ!」
我はアオイを漬け込んで楽しむとしよう。
遠征終わりで女に飢えていた。
しばらくは女で楽しむ。
遠征後の飢えた今、初物を味わう瞬間こそが最高の喜びだ。
スティンガーはアオイを抱えて屋敷に向かった。
アオイに危機が迫る。
あとがき
昔小説家になろうに投稿していた短めの作品をカクヨムにコピペ投稿します。
もしお時間があり、合いそうな作品があれば見て欲しいなーと思います。
ではまた!
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