第53話
俺達は皆を連れてうさぎ亭に帰還した。
兵士とメイドが捕まったみんなを風呂に入れる。
「ファルナの隠れ家みたいな場所って無いのか?」
俺は兵士に聞いた。
「いえ、残念ながら。拠点はここだけです」
「また襲ってくると思うか?」
「来ます。それと、今日戦った団員は主力ではありません。団長のスティンガーも居ませんでした」
だよなあ。
もうみんな疲弊している。
今奇襲されたらまずい。
今ファルナの兵はレベル不足だ。
俺1人だけで倒せる敵の数も限られている。
英雄騎士団は皆レベルが高いはずだ。
厄介なのは主力は全員レベル50越えで、連携を取って攻めてくる。
包囲しようとしつつ連携してくるのが厄介だ。
今回の救出もカインの高火力魔法と勇者アサヒの横からの奇襲するような攻撃の組み合わせがあったからすんなりいった。
しかも孤立した敵はアオイの槍で突き刺されて各個撃破されていた。
だが、そうで無ければきつい展開になっていただろう。
カインとアオイか。
癖はあるが強い。
厄介だな。
「ふー!ふー!無事、助けられた、み、みたいだね」
厄介さんが来たか。
「そう、だな。だが、また奇襲されそうだ」
カインはマジックポーションを飲みながら言う。
「だ、大丈夫さ。ぼ、僕がいるよ」
「所でアオイは?」
「わ、わからないよ」
俺はカインが目を逸らしたのが少し気になった。
何かあったのか?
いや、今はこの場を切り抜けたい。
「救出活動、感謝しますわ」
「ファルナ、もう大丈夫なのか?」
「ええ、媚薬を落とし、状態異常は解除しました。少し体が熱いですが、問題ありませんわ」
ファルナの体が熱い発言でカインの鼻息が荒くなる。
「僕が皆を守るんだあああ!!!」
怖い怖い怖い!
急に大きい声出すなよ!
色々怖い。
「!敵の気配か?」
「そ、そうみたいだね。ぼ、僕が倒すよ。も、もう魔力は、か、回復したんだ」!
カインはファルナを見た後、外に出て行った。
あいつと共闘すると後ろからファイアが飛んでくる。
前衛は本当に怖い。
後ろからファイアで転がされたタイミングで英雄騎士団に包囲されて連続攻撃を食らったら終わりだ。
しかもカインは団子になったその英雄騎士団にファイアを撃ち込んでくる可能性すらある。
俺の命は気にせず攻撃する気がする。
「わたくし達も向かいますわ!兵を集めます!」
すぐに兵が集まる。
俺はファルナと共に遅れて迎撃に向かった。
スケルトンの効果は切れている。
魔力は回復してきたが、スケルトンを使う魔力の余裕はない!
他のスキルに魔力をを使いたいのだ!
今回はスケルトン無しの戦いになる!
ファルナの準備が出来ると、すぐ外に出る。
外に出るとカインが魔法を連発する。
「ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!」
カインはファイアを受けてダウンした敵に追いうちのファイアを使い確実に息の根を止めている。
スティンガーは、居ないか。
最悪の状況ではない。
「豚を殺せ!!舐められるな!」
舐められるな、か。
まるでヤクザの抗争のようだ。
「これ、カインが有利なのか?」
カインは後ろに下がりながら魔法で倒していく。
流石に強力な魔法の連撃で一気に死ぬと分かれば、英雄騎士団も動揺する。
「そろそろカイン君が逃げるわ」
兵士のお姉さんが深刻な顔で言った。
「え?杖で近接攻撃も出来るよな?」
「逃げるのよ」
カインは魔力が切れてくると、全力で逃げ出した。
「追え!何としてでも殺せ!舐められたままではいかん!!」
8名の英雄騎士団がカインを追いかける。
カインのあの姿は、アサヒのようにも見える。
すぐ逃げる部分は共通しているのか。
これは、逃げ切れる奴だ。
カインのおかげで10名以上の戦力を削げた。
出来ればもっとカインを追いかけていって欲しい。
それに後ろからファイアが飛んでくる心配も無いか。
「全滅させろ!後でファルナや女を回収する!」
英雄騎士団とファルナの兵の数はほぼ同じだ。
だがこちらの方がレベルが低い。
英雄騎士団が襲い掛かって来る。
俺は切り札を使う。
「カースウォー!月光!」
カースウォーの闇のオーラと、月光の光のオーラが混ざり合うよに俺を包む。
ブーストしつつ敵に切り込んだ。
「三日月!斬月!」
殴り魔コンボで1体を十字に斬り倒す。
俺のオーラエフェクトと、一瞬で1人を倒した俺の動きで団員が俺に殺到する。
団員がアーツスキルのモーションに入る。
「シャドーバインド!」
近くに敵が密集する瞬間にシャドーバインドで拘束する。
敵が強く、拘束時間が短い!
敵が強いほど、シャドーバインドの拘束時間は短くなるのだ。
だがその短い隙に更に近くに居る2体を倒す。
「シャドーバインド!」
敵の動きを止めて2体を倒す。
MPは残り31ポイントか!
「シャドーバインド!」
そして3体を倒す。
後11ポイント!もうシャドーバインドは使えない。
魔法スキルはクールタイムが無い分、すぐに魔力切れを起こす。
俺がシャドーバインドで連続で動きを止めた事で、ファルナの兵士が周りの敵を倒した。
もう数人しかいない。
3人が逃げる。
1人でも逃がしたら駄目だ!
本部に報告されたら、敵が動くかもしれない!
こちらの状況は把握させない!
俺は後ろから連撃を食らわせて一人を倒す。
同じように更に1人を倒した。
最後の敵にアーツを使う。
「三日月!」
斬撃が飛んで兵士にヒットした。
兵士の動きがわずかに止まった瞬間に、一気に距離を詰めて兵士を倒す。
俺が戻ると兵士とファルナが見ていた。
「こ、これがハヤトの力ですのね」
「す、すごい!闘いが始まってから1分もかかって無いよ!」
「一気に敵の数が減りました!」
「みんなが居たからだ」
「いえ!違いますわ!半分はハヤトが倒しましたわ」
「皆が敵のターゲットを取ってくれたから出来た。包囲されたら危なかった」
兵士のお姉さんが近づいてくる。
「それよりもファルナ様、すぐに次の動きを考える必要があります!」
「そ、そうですわね」
うさぎ亭を光が照らす。
日の出か。
俺はステータスから日付を確認した。
【王国歴999年冬の月72日】
いつの間にか日付が変わっていたか。
少し眠い。
俺はうさぎ亭に戻った。
あとがき
アオイ嫌われてますね。
思わずあとがきに書き込んでしまいました。
寝取られ歓迎勢とざまあ勢の意思が一つになって、大勢力が誕生しています。
ではまた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます