第27話

 俺が3人前のシチューを平らげるのを、トレイン娘・エリス・ヒメが見つめる。

 

「今日はどこに行ってたんだい?」

「教会とダンジョンだ」

「ジョブチェンジですね!」


「そうだな。ヒメ、ジョブチェンジの件は皆には内緒で頼む」

「うん、わかった」


「所で明日、4人でパーティーを組んでダンジョンに行かないか?」

「行きましょう!」

「ダンジョンの2階になる」


「行きたいけど、う~ん、その前に紋章装備を揃えたいの」


 ヒメの紋章装備は弱い。

 もっといいものを装備するのがいいだろう。

 それにエリスの紋章装備も弱い。


「ヒメと、エリスも紋章装備を買い替えないか?」

「僕は、お金が厳しいからいいよ」

「そうか」


 俺が強くなって余裕が出来ればエリスに金を渡して楽にすることは出来るかもしれない。

 みんなが強くなるのも効果的だ。


 ダンジョンは1階の魔物が1000魔石落とし、2階の魔物は2000魔石で3階が3000魔石だ。

 それに加えて、上の階に行けば行くほど、魔物が密集し、中ボスの出現頻度は上がっていく。

 上の階に行けば行くほど金稼ぎは楽になっていくのだ。


「明日は紋章装備を揃えて魔物狩りですね!」

「そうだな。所でトレイン娘」

「なんでしょう?」


「チキンって買い取って貰えるのか?」

「買います!」

「もう2階に行ってきたんだね」


「そうなる。トラップと奇襲さえ防げれば大丈夫だ」

「楽しみですね!」

「トレイン娘、2階に入ったら俺の前に出ないでくれ」

「分かりました」


「それじゃ、明日な」





 俺はベッドに入ってスキルを振る。




 ハヤト 男

 レベル:1

 固有スキル 訓練:LV3

 ジョブ:闇魔導士

 体力:1+100  

 魔力:1+100  

 敏捷:7+100  

 技量:1+100  

 魅力:0+100 

 名声:0+100  

 スキル・全能力アップ:LV10・スタミナ自動回復:LV10・短剣:LV10・投てき:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・呪い耐性:LV10【NEW!】・スケルトン:LV10【NEW!】・シャドーバインド:LV1【NEW!】 ・武器 初心者卒業ロングナイフ:20 ・防具 初心者卒業防具:30





 今回は悩んだ。

 スキル枠を10枠使用し3つのスキルを取得した。


 ・呪い耐性

 ・スケルトン

 ・シャドーバインド


 呪い耐性は闇魔法を使う上で必要だ。

 闇魔法スキルを使うと、呪いが蓄積する。

 それを防ぐために呪い耐性は必須なのだ。


 スケルトンを取ることは決まっていたが、残りはシャドーバインドとカースウォーで悩み、シャドーバインドを選択した。


 闇魔法はダンジョンに行って使ってみて効果を確かめたい。

 ダンジョンが楽しみだ。





『王国歴999年冬の月66日』


 朝になると全員が起きていた。

「まずは食事ですね!」


 トレイン娘が食事を用意する。


「皆、緊張してるのか?」

「そうだね、ダンジョンの2階は行って帰ってこない者も居るんだ」

「私も緊張する」


「大丈夫ですよ!ハヤトさんが居るんですから!」


 俺はトレイン娘が一番心配だ。

 一番トラップに引っかかりそうな動きをしている。

 斥候だから動き重視なのは分かるし、仕方のない部分もある。

 だが、心配だ。


 食事が終わると、俺達は紋章ショップに向かった。




 紋章ショップに入ると、エリスと顔なじみの店員がエリスに声をかける。


「エリス、元気にしてた?」

「元気でやってるよ」

「今日は紋章装備の購入?」


「そうだね」

「やっと装備を変えるのね」

「変えるのはこの子だよ」


 エリスはヒメの方を向いた。

 俺も店の紋章装備のカードを見る。

 攻撃力や耐久力が表示されている。


 白のダガーか。

 欲しいな。

 攻撃力は高くないが、耐久力がマジで高い。



 300万魔石か、足りない。


「白のダガーが欲しいんですか?」


 トレイン娘が話しかけてくる。


「そうだな。次来た時に買おう」

「私が立て替えますよ!」

「でもそれは……」


「今日の朝メニューで鶏肉のシチューをメニューに追加したら売り上げも評判も良かったんです。お肉払いの後払いでどうでしょう?」


 トレイン娘は気を使う部分がある。

 ウインウインと言って来るが、トレイン娘が損をしている場合もあるだろう。

 俺の考えを読むようにトレイン娘が話しかけてくる。


「私は損をしませんよ。それに、ダンジョンの2階でレベル上げをただで手伝ってくれるじゃないですか」

「それはそうだけど」


「それに、早く落ち着いちゃって、温泉に行くのもいいですよね!」


 温泉と聞くと色々連想してしまう。

 単純に温泉に入りたいだけかもしれない。

 だが。


「分かった。借りよう。肉は全部うさぎ亭に流す」

「ヒメの装備も決まったようですよ」


 ヒメがジト目で見てくる。


「外に出てて」

「この世界の常識になれるいい機会だ。さあ、防具を解除しよう。俺の事は気にしなくていい」


「もお!出て行ってよ!」


 俺は背中を押されて店を追い出された。

 ヒメの裸は見られなかったか。


 だが、白のダガーは手に入った。




 俺は装備の購入が終わりダンジョンに向かいながらステータスを見つめる。



 ハヤト 男

 レベル:1

 固有スキル 訓練:LV3

 ジョブ:闇魔導士

 体力:1+100  

 魔力:1+100  

 敏捷:7+100  

 技量:1+100  

 魅力:0+100 

 名声:0+100  

 スキル・全能力アップ:LV10・スタミナ自動回復:LV10・短剣:LV10・投てき:LV10・罠感知:LV10・敵感知:LV10・偽装:LV10・呪い耐性:LV10・スケルトン:LV10・シャドーバインド:LV1 ・武器 白のダガー:50【NEW!】 ・防具 初心者卒業防具:30


 



 白のダガー。

 武器の耐久力がめっちゃ上がった。

 

 白装備は攻撃力や防御力より耐久力が高いんだよな。


「またステータスを見てる」


 ヒメはそういうが、俺はヒメの紋章装備交換を見ていない。

 仕方ないから装備でテンションを上げるしかないだろう。


「さあ、2階に行きますよ!」


 俺達はダンジョンの魔法陣に乗った。



 






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