第57話

「改めて自己紹介しよう。俺はピュリアーツの森で村長代理している、ルシウス・F・ピュリアーツ。7人兄妹の長兄だ」

ルシウスは、シリウスが召喚魔法で出した、ホットコーヒーに一口と含んでから言うと、残りの兄妹もその後に続いたが…。

「オレは、ネイサス・F・ピュリアーツ。次男で、剣技を得意としている」

「僕は、クレイス・F・ピュリアーツです。三男で、色魔法が得意なんだ」

「僕は、マイラス・F・ピュリアーツ。四男で、生活魔法が得意だよ」

「俺は、レイオス・F・ピュリアーツだ。五男で、精霊魔法が得意だ」

「僕は、エリオス・F・ピュリアーツです。六男で、治療魔法は得意だけど、詠唱しないと出来ないんだ…」


エリオスは、そう言うものの、何だかんだとフリックは疲れていたからなのか、ラグーン王国内に囚われていた時、酷い目に遭ったからなのか、恐らくは両方から来ていたせいで、またもや眠ってしまったのである。


「で、この子は…俺たちの大事な妹。フリック・R・ピュリアーツ。本来ならば、マナが一番高いこの子がハイエルフ・シルヴァンエルフの掟に従い、森の村長として継がなければいけないのだが、年齢はまだまだ12歳と若いし、魔法の素質は十分にあると思うんだが、この子の場合は下手したら魔力が暴走する恐れがあるということから、今は俺が代理としている訳なんだ」

ルシウスは、7人兄妹を代表して言ったのである。

「そうなんだ。で、ふとここで言うべきかどうか思ったんだけど…色魔法って何?」


俺自身もその色魔法は使えるみたいなのだが、良く分からないんだよな。

それにフリックが青魔法に興味あるのに、教えない理由も何となく納得出来たけれど…。

この機会に話は大きくズレるけど…と思いながら、俺は気になって言ってみた。


「色魔法は、日常生活に使用されている物に色を付ける魔法ですよ。この世界は平和になったものの、食器や服等などは色のない世界なので、青だったら青系、赤だったら赤系に色を付ける魔法なんだ」


色魔法が得意なクレイスは、無色とかミレイが着ていたような服に色を付ける魔法なのだと説明したのである。また、色魔法だけは魔力を余り持たない人間が唯一と使える魔法であり、色魔道士として仕事に就いている者もいるということであった。


「へぇー…何だか一見は地味のようで、ある意味合いで凄い魔法なんだな…」

「そうなんだけど、クレイス兄さんの色のセンスは最悪なんだ」

「そうそう。この前もフリックにセンスがないと言われて凹んでいたし…」

「僕は森の外に出たことがないんだから、どうセンスを磨けばいいか分からないんだから仕方ないじゃん…」


何だかんだと和やかな空気に包まれる中、ルシウスは、そろそろ本題に入ろうということから、今はフリックだけは別の部屋で、ゆっくりと寝かし付けて欲しいと頼むと、スライスによって用意された、温かみのある子ども部屋へと連れ出したのだった。











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