第39話

「この辺りで釣るかな…」


俺は釣り竿を召喚すると、俺のいた世界よりも青く輝く綺麗な海を見ながら、釣りを始めたのである。


「って…食いつきが早っ!」

投げて1秒も経たない内に俺は、魚を釣り上げてしまったのだ。

「な、何だ?この魚は…分析っと」


何かとすぐに分析ばっかりだな…俺。

そういえば、スライスとか今日、生成したばかりの人面樹の能力って分析しなかったな。

後で確認しようっと。


≪ブルー・アジ≫

・アジの一種。

・刺身にすると美味である。

・銀貨10枚で売ることが出来る。

・体長:30cm

・重さ:5kg


「アジか…。よし…今日の夕飯は久々に刺身にするか」


元々、魚にするつもりだったしと俺は思いながら、釣りを再開したのである。

色合いはどうであれ、食べられるのであれば、釣っておきたいのだ。

コレから大所帯になっていくだろうからな…。

ミレイにスライス、そして、あの変な人面樹しか今はいないけど。

あっ!プラントも加えたら、プラントもだな。

ソルト・プラントとかスイート・プラントとかさ。

そうそう。そういえば、あの人面樹の話に戻るけど…。

アレもスライスみたいに人間形態って出来るのかな。

さすがにプラントは無理でも、人面樹は…どうなんだろう。

余り想像は出来ないけどさ。







「うー…酔った」


エリオスは、レイオスの風魔法である≪ウィンド・フライング≫で、北の大陸までひとっ飛びであることから、それで向かったものの、北の大陸であるリベルダ領へと着地した途端に何度も嘔吐を繰り返していた。


「全く情けないな。エリオス」

「そうだな…」

フリックならば「もっとたかくとんでほしーの」って我儘言っていたことを思い出しながら、ネイサスは返したのである。

ただ、フリックはまだまだ幼いことから失敗も多く、オマケに超越した、膨大な魔力を持つが故に暴走する恐れから一人で魔法を使うことを、ルシウスから強く禁止されているのだ。


「だって…僕はレイオス兄さんやルシウス兄さんと違って精霊魔法なんて使えないんだから仕方ないだろう」

「俺なんか魔法一つも出来ないぞ」


ネイサス自身、魔力はあるものの、向いている魔法は一つもないことから、亡き父であるロジック譲りの剣一筋で走っているのである。


「うー…返す言葉もございません」

「とにかく…ん?人がいる?ここってホントにリベルダ領…だっけ?北に向かって飛んで来たけど、人が住むような大陸じゃないんだけど…」

エリオスが自分自身に嘔吐を抑える、治療魔法を掛けている中、レイオスはふと海の方を見ると、人がいることに気付いたのである。

「人…?」

「ちょうどいい。そこの人に聞いてみるか」

ネイサスはそう言うと、エリオスとレイオスが返す前に行ってしまったのだった。

「ちょ、ちょっと…ネイサス兄さん?」

「ここは兄貴に任せよう」

「そ、そうだね。兄さん」

エリオスは、砂場に座り込みながら返したのである。

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