第19話
「えーっと…粉末にする方法。うーん」
そもそも、魔石を粉末にする方法って…?
石臼か?米を米粉にする感じで、魔石を石臼で粉末にするしかないか。
アレってスッゲー時間は掛かるんだよな。
何かお手軽に粉末にする方法があればいいんだけど、今は無いし。
とにかくと粉末にしよう。
例の如くで、召喚魔法で石臼を出してっと…。
「コレを拾ったばかりの赤の魔石を入れて…」
ゴリゴリ…ゴリゴリ…とゆっくりと俺は回し始めた。
「うわー…綺麗な赤色じゃん。人間社会で加工する理由も納得いくね」
そのままだと、何の変哲のない赤いだけの魔石なんだけど、こう粉末にすると鮮やかな赤じゃん。磨いたら、きっとスッゲー色になるんだろうなぁ。
「序でに青とか緑とか黄…なんかも粉末にしておくか」
同じように粉末にして使うだろうし…と俺は他の色の魔石もゴリゴリと石臼で粉末にしていったのである。
「で…粉末にした魔石を俺の世界の馴染みの塩を混ぜる…か。馴染みの塩といえば、クレイジーソルトなんだよな。いつも、家で使っていたし」
拘ると高いもんな。
塩って意外と高いのだ。
噂に聞く粟○の塩となると、ブランドものだぜ?
俺なんかの給与でなかなか買えない。
というよりも、余り俺の住む地域では見掛けなかっただけ。
いつも格安スーパーしか行かなかったから余計なんだけどね。
とりあえず、召喚魔法でクレイジーソルトを…。
≪出でよ…クレイジーソルト≫
すっかりとお馴染みと化している、召喚魔法で俺は出してみた。
「うっわー…すっごいねぇ」
「凄い…?んっ?誰だ?」
突然と声を掛けられ、俺は見上げたのである。
すると、そこには。
茶髪に同色の目のした、10代半ばの人間の少女が立っていたのだ。
「あっ!ごめんなさい。ここから目と鼻の先にあるアーノルド連邦から来た、ミレイです」
「アーノルド連邦…?」
「はい。廃墟当然の街から来ました」
「ああ。あの街か…。探索した際、人が住んでいるのかと不思議な所からご苦労さん。俺はシリウスだ」
人の気配に気付かないとは、俺は…どんだけ気を緩めていたんだ?
もし、平和な時代に転生していなかったら、命は無かったかも知れないな。
「で、何の用だい?ミレイさん」
「んー…北に行けば、この不思議な力の使い方が分かるかなと来たんだ」
「不思議な力…?」
「あたしね?小さい時からマナがあるの。でも、伝説の魔法使いフォルナが後世のために書き残したという本を見てもその力を引き出すことが出来なくて…。ここは伝説の勇者様と魔王が戦ったと伝えられている場所だから」
それ故に好き好んで近付く人間を始めとする種族は、余り近付かないのである。
ミレイはたまたま、目と鼻の先に住んでいることから、ずっと気になって行動に移してきただけだということであった。
「そうか…。残念だが、俺にはその力の使い方を教えることは出来ないな」
「えっ!?どうして?さっき何もない所からそれを出したじゃん」
「あー…コレは俺の独自の魔法なんだ。君に教えられそうな魔法はないから。それに魔法って適性がないとどんな魔法が自分に合うか分からないだろ?」
適性に合わなければ、暴走してしまう可能性があるだろうと俺は思いながら言ったのだ。
「そっか。それもそうだよね…」
「お、おい…!?どうした?」
「あ、朝から…雑草ばかりで…ロクに食べてなかった…」
そうミレイは言いながら、そのまま倒れそうになった所を俺はそっと支えたのである。
「待ってろ。すぐに粥を用意してやるから」
俺はミレイを抱き抱えると、城の中に入ると共にどこか空いている部屋へと寝かすと、台所で卵入りのお粥を作り始めたのだった。
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