第2話

遂に抽選が始まった会場では、より一層に賑わいが増していた。

「次こそは絶対に草の人生から抜け出してやるぜ!」

「おうおう言ったな。俺だって石人生から抜け出してやる」

んっ…?

草に石?ろくでもない人生だな。

そんな人生ならば、マジでさっきみたいな転生が良いだろうなと俺は思った。

確かに彼らの風貌は、草に石である。

そもそも、草と石って喋れたっけ?

いやいや。第二処か第三、第四、第五と歩んで来たのだろう。

とにかくと心の中で、俺はご愁傷様としか言いようがなかったのである。



『転生名前は安藤流星アンドウリュウセイ(男)、転生種族は人間、転生日は2024年6月15日、転生先は日本にある東京都、転生特典は煌めくイケメンボイス+貧乏神スキル、プレゼントは絶対に金持ちになる本』


二人目も日本…か。

それにしても、特典は可哀想なモノだな。前者よりも後者だ。

まあ、人によるんだろうなぁ…。

そうしている間に三人、四人、五人目も日本への転生が決まっていった。

ただ一言だけ言わせてくれないか?

五人目の名前、適当にも度が超えているんだが…?

いや、今から約30年後の未来だし、そういう名前もあるある系かも知れないかも知れないけどさ?

何しろさ?五人目はさ?こう言われるままに転生したし?


『転生名前は佐藤之麺麭サトウノパン(女)、転生種族は人間、転生日は2050年8月8日、転生先は日本にある京都府、転生特典は世界各国のパン造りスキル+アレルギー無効化、プレゼントは世界屈指のパン屋』


なんだ。

名前がパンだからって…麺麭って無理に漢字にしなくても?

別に読めないって訳じゃ無いけどさ…?

それを言い出したら、さっきまでの名前もキラキラネームだったな。

愛戦士と書いてセー○ー△ーンだったり、龍球と書いてド○ゴン○ールという…正直言ってその名前は、個人的にどうかと思ったけど、他人事に突っ込むべきではないよな。多分。国民的作品を名前として取り入れるってのは、コレからの時代に増えるかも知れないな。



そうしている間に次の転生の抽選が始まっていた。

そういえば、さっきの草とか石って転生したのだろうか…ってまだいるし。

どうやら、まだまだ俺同様に時間は掛かりそうだな。


『転生名前はボルク(男)、転生種族はコボルト、転生日は聖龍歴せいりゅうれき59994年7月22日、転生先はソルディア・カオスティック・マジフィニクッスにあるドナルト共和国・コボルトの村、転生特典は絶対嗅覚スキル、プレゼントは折れそうで折れない剣』



ん…?ソルディア・カオス…何とかなんとか?

聞いたことがない名前だな。

ってことは…つまり、異世界に転生ってことかな。

それにしても、聖龍歴が5万年って…随分長い歴を使っている世界なんだな。

まるで、龍を神として暦が出来たって感じだな。

それはどうでもいいとして、コレから呼ばれる者は、日本ではなく異世界に転生ってことになるのだろうと思いながら、俺はますます異世界への転生に期待したのである。


まだまだ、どうせ俺は一番最後なんで、時間は掛かるだろうなぁ…。

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