駄菓子

黒木裕一

駄菓子

ミントの匂いをまとった彼女は

お茶を片手にテレビをつけた


床に膝をついて

口をぽかんと開ける


そういう駄菓子のような安っぽさが好きだった



塩気の強い君は

枕に染みをつけた


布団に背中を預けて

口をきゅっと結ぶ


安っぽいなりに背伸びをするのが好きだった



テレビをつけると

駄菓子になった君が映る


僕は手に持ったそれを食べた

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駄菓子 黒木裕一 @yuuichi_write

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