第26話


この状態からどうやって抜け出せばいいんだろう

取り合えず今の状況をちゃんと見直してみよう。


昨日の夜にテントを借りて寝て、起きたら拘束されてた。

さっきからガタガタと揺れるからきっと馬車の荷台に

乗せられている。


どこに向かっているのかな…

早く逃げ出さないと…


逃げ出そうとしてもぞもぞと動いて拘束を解こうとするけど

かなりしっかり縛られているみたいで全然抜け出せない。


そんな事をして1時間くらい経ったかな?

急に馬車が止まった。


「………」


話声が聞こえて来た。


ガチャッ

馬車のドアが開いて急に明かりが入ってきて

まぶしくて思わず目を閉じてしまう。


「おい、起きてんだろ?」


と、声をかけられて

目を開けると昨日の男の人だった


「んー!!」


「待ってろ、今猿轡を外してやるから」


そう言って男の人は馬車の中に入ってきて

猿轡を外してくれた。


「ありがとうございます!

気が付いたら捕まってて、あなたは大丈夫だったんですか?」


「ああ、俺たちは心配ない」


男の人がそう言って馬車の外を指さすので見てみると

他の男の人たちが馬車の外にいた。


「よかった…

すいません。

私が捕まっちゃったから助けに来てくれたんですよね」


申し訳ない気持ちになりながら男の人にそういうと

男の人はいきなりお腹を抱えて笑い出した。


「え、どうしたんですか?」


「お、お前…まだ気づかねーのか」


「どういうことですか?」


「誘拐は俺たちがしたんだよ!」


え…昨日あんなに親切にしてくれたのに……。

まさか誘拐犯にそうやって言うように脅されてるのかな…?


「嘘ですよね

縄解いてもらえますか?

早く逃げましょう!」


「だ、か、ら!

お前は俺たちが誘拐したんだ

解く訳ねーだろ!

お前はこれから奴隷として売るんだ」


奴隷…?

なんで?どうして?

ただ迷宮に潜ってただけなのに…

なんでこんな事になるの…?


「私は街に帰りたいです

奴隷になんてなりたくありません」


「お前に拒否権なんかないんだよ!

今から2時間くらいで着く街に奴隷商がある。

そこにお前を売って俺たちは金を貰っておさらばよ」


「嫌です!」


そう言っても男の人は笑ってるだけで

助けてくれない…

本当にあの親切だった人が誘拐犯?


「まあお前の意思なんか関係ない。

後2時間くらいだから黙ってろや」


そう言ってまた猿轡を噛まされて

男の人は笑いながら馬車から出て行った。

少し時間が経ってからまた馬車が進み始めた。

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