第25話


しばらく進んでいると光が見えて来た。

そちらの方に進んでいくと

厳つい男の人たちが焚火を囲んで酒を飲んでいるようだった。


「すいません。

ここってどこですか?」


取り合えず自分の居場所を把握しようとして

声をかけると男の人たちは武器を取ってこちらに振り向く


「おいガキ!

どっから入ってきた」


「なんだこのガキは」


「すいません

迷宮の転移罠でここまで飛ばされてしまったんです

元の場所に戻りたいんですけど…」


「転移罠?

って事は冒険者か?」


「はい!Eランク冒険者のサリーって言います。」


男の人達の中から一人だけ出てきて他の人たちは

焚火の周りに戻って行った。


「そうか

サリーって言うのか

その年で冒険者って事は色んな苦労があったんだな。

どこから来たんだ?」


「はい、Oスキルで…

テールの街の迷宮から飛ばされました。」


「テールの街かここからかなり遠いな」


ここからだと馬車でひと月はかかるらしい。

どうしようかな

馬車でひと月って事は徒歩だと3か月はかかっちゃう…


「ここからテールの街までかなり遠いんですね…」


「サリーはテールの街で誰か待たせてるのか?

急いでないなら俺たちの旅の途中で通るから連れてってやるけど」


え!?連れて行ってもらえるの?

でもお金もないからお礼もできない…


「隷獣が一人だけいます

ありがたいんですけど

お金もなくてお礼も出来ないので…」


「お礼なんて気にするな

サリーが出来る事をやってくれればそれでいいぞ」


お礼も無しで連れて行ってもらえるのか…

最初は怖かったけど凄いいい人達だ!


「そういう事ならよろしくお願いします!」


「よし!

じゃあ取り合えず寝て明日に備えるんだ

テントはそこの荷物置き場用の奴を使ってくれ

その中に予備の寝袋もあるからな!」


そう言われて辺りを見るとテントが3個並べてあった

あのテントの中の一番左の奴が荷物用らしい

お言葉に甘えて休ませてもらうことにした。


翌朝起き上がろうとするとなぜか起き上がる事が出来なかった。


「んーんー--!!」


話そうとしても猿轡がしてあるようで話す事も出来ない

一気に目が覚めて何が起きてるのか確認する


手足は拘束されてて口には猿轡…

これって誘拐…?

でも昨日の親切な男の人達がいたはず…

まさかみんな誘拐されちゃったのかな…


どうにかして逃げて昨日の人たちを助けないと……

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