第14話 因縁

 公園での勉強を終え、スーパーで買い出しをして帰宅する。簡単なインスタント親子丼と味噌汁を作って食べたのだが、イマイチな味……昼食より金がかかるのにこのレベルなのかとため息が出る。

 少し前までは満腹になれば味はどうでもよかったのだが、この頃は食に対して偏見を持つようになったなぁ。料理の鉄人、川岡のせいである。


「まぁ、それは置いとくとして……予習をせねば」


 あとに残すと面倒なので、さっさと食器を洗い、スマホで塾のサイトにアクセスする。これは都会で俺が通っていた塾で、オンラインで最新の講義が受けられるなど、受講料が高い分、バックアップも優れているのだ。

 さっそく本日の講義へ進もうとすると……。


(お、ついにきたか)


 この塾はオンライン通信でも定期テストが受験可能であり、先日受けた結果が出たようだ。結果表は塾サイトのトップページへとリンクが張られている。

 これだけ勉強詰めの日々を送っているのだし、順位が上がっていることを期待したいところである。リンクを開き、さっそく結果を確認した。


「うそだろ……全然順位が上がっていない」


 結果は22位。残念ながら、塾全体におけるTOP10にも入れていない結果だ。確かに、大きな手応えがあったかと言われればうなづけない部分はある。しかし、こんなに根詰めて勉学にはげんでいるというのに……一体何が悪いのだろうか。


(まだまだ俺より点数の高い奴はたくさんいるというのに)


 納得はいかないものの、結果は結果として受け止めなければ。これからの敵を知るためにも、ランキング上位の奴らを細かくチェックしていく。

 同じ学校だった奴の名前もあれば、別の高校で成績優秀と噂の奴もいる。だが、なにより俺を驚かせたのは……。


『ガタッ!』


 1位にそいつの名を見つけ、俺は思わず机から立ち上がる。トップに記載されていた名前……それは思い出すだけでもまわしいあいつの名前だった。


「な、なんであいつが……くそっ!」


 悔しさのあまり、俺はそばの椅子を蹴りつけた。

 よりにもよって、なんであいつがこの塾にいるんだ? いや、全国的にトップレベルと定評がある塾なのだ。あいつが入塾してもなんらおかしいことはない。だけど、一番負けたくないあいつが同じカリキュラムをこなせば、余計俺に付け入る隙なんかなくなってしまうではないか。


(なんでここまで差がついたんだ)


 悔しさが怒りとなり、その後に失望が押し寄せる。俺はへたりと座り込み、うなだれた。


(模試の結果なんか見るんじゃなかった)


 出口の見えないトンネルに入ってしまったようで、心が折れてしまいそう。今の俺には逆転のシナリオしか残されていないとはいえ、その糸口すら未だ見つけられていない。


 鍛えた集中力はどこへやら。

 そのまま気力のみでオンライン講義に取り組んだが、まるで身が入らない。結局、今日の分をこなすのに明け方までかかってしまった。

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