第3話 ダンスパーティー
弦楽合奏が始まり、ダンスパーティーが始まった。
アリアは、初めて人前でダンスを踊った。
エスペランスにリードされ、美しいスッテプに綺麗なターンをして、のびのびと広いダンスホールで踊った。
楽しくて、自然に笑顔になれた。
一曲を踊ると、拍手が沸き起こった。
「上手だった」
「ありがとう、ランス様。とても楽しかったです」
エスペランスに手を引かれて、赤い絨毯が敷かれた王の間に連れて行かれる。
並んで2客の立派な椅子がある。
「ダンスを踊らないのならば、ここに座ることになるが、座っていられるか?」
「こんな立派な椅子に座るのですか?」
「王の座だ。王の隣は王妃の座だ」
エスペランスは立派な椅子にアリアを座らせ、少し離れた椅子にエスペランスが座った。
招かれたお客がダンスを踊り始めた。
「あ、アミーキティア様だ」
「様は付けなくていいぞ。そうだな、様を付ける相手は、私の両親や祖父母くらいだろう。それ以上の者は、滅多にパーティーにも出てこない。ひっそり気ままに暮らしておる者が多いからな」
「ランス様のご家族にも付けないのですか?」
「付けてもいいが、そのうち嫌がり出すだろう。位の上の者に、敬称を付けて呼ばせておるのかと、噂になると厄介だからな」
「そうなのですか?」
「嫌がり出すまで、呼んでやると言い。いい仕返しになるだろう」
「仕返しをしようなどと思っていないわ」
アリアは大きすぎる椅子に座って、ため息を零す。
「ただ私はまだ18歳よ。アミーキティア様が200歳を超えているなら、ランス様はお幾つなのですか?」
「知りたいか?」
「それは勿論、わたしの旦那様の年齢も知らないなんて、恥知らずよ」
「330歳だ」
「へ?」
年齢を聞いて、驚いた後に、アリアは笑い出した。
「永遠のように長すぎるわ」
「これから共に歳を刻んでいくのだ」
「わたしもいつか330歳になることがあるの?」
「そうだな、312年後に330歳を迎えるだろう」
「お母様の分まで、十分に生きられそうだわ」
「ベルの魂は神の元に戻った。きっと転生してくるだろう。会える日が来るかもしれないぞ」
「お母様に嫉妬されそうだわ」
「ただ、昔のベルではないだろうが……」
エスペランスは遠くを見つめた。
「お母様が転生することを知っていたなら、待っていたら良かったのに」
「同じ魂だからと言って、同じ気持ちを抱くことはないだろう。私はあの瞬間のベルを愛し、ベルの望みを叶えるうちに、アリアを好きなった。ベルとアリアは別人だと言ったであろう」
「ランス様、ありがとう」
アリアは手を伸ばし、エスペランスの腕に触れた。
「ランス様の事、すごく好きです。500年でも1000年でもずっと一緒にいてください」
エスペランスは椅子から立ち上がると、アリアを抱き上げて、姿を消した。
寝室に付くと、キスをしながら、アリアの髪飾りを外し、長い髪を下ろした。
背中のリボンを器用に緩め、ドレスを脱がしていく。
アリアが靴を脱ぐと、エスペランスはアリアを抱えたままベッドに倒れるように横たわった。
キスをしながら、足を絡め合う。
少しも離れたくはない。
優しい手が身体を撫でてくれる。アリアもエスペランスの背中を抱きしめる。
胸を撫でて吸われると愛しさが増してきて、アリアはエスペランスの髪を撫でる。カリッと噛まれても、甘い痺れが走っても、すべてが嬉しい。
「ランス様、もっと愛してください」
「なんと愛おしい事を言うのだ。我慢ができなくなるだろう」
「我慢なんて、するものではないわ。いいことなんて少しもないもの」
「それもそうだな」
二人は一つになっていく。
アリアは陶酔した顔をしている。
「ランス様の証でいっぱいにしてください」
「その願い、叶えよう」
アリアはエスペランスを抱きしめてキスを強請る。
二人は舌を絡め合い、互いを求め合う。
アリアは嬉しそうに微笑む。
もっともっとと強請るように、アリアは、エスペランスの背中を撫でる。
二人はダンスパーティーが終わっても睦み合っていた。
永遠の時間、抱きしめあっていたい。
アリアは自分の中に芽生えた欲望に巻き込むように、エスペランスにキスを贈る。
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