第51話
最初は帰ろうとしていたエミリアだったが、ニナとステラに説得されあっさり陥落し泊まることに。気持ちはわかるぞ。
トランプが終わり、俺と子供達が風呂から出て今はエミリアが風呂に入っている。先に入ってもらおうと思ったら頑なに「わ、私は最後でいい」と譲らなかった。
「…んー…」
ニナが目を擦りながら頭を擦り付けてくる。
「眠いなら無理をするな。ベッドいくか?」
「…や、えみりあおねえちゃまつ…」
エミリアが出てくるまで待つと頑張って起きていたニナだったが、睡魔には敵わなかったようで俺の膝に頭を乗せて寝息をたてはじめた。既にラッツは俺が抱っこした状態で、ステラはアリアメルの膝の上で寝ている。隣ではイスカとフィオもお互いにもたれ掛かる形で寝ている。
「しょうがないな…」
「ふふ…そうですね」
隣でアリアメルがステラの頭を撫でながらそう答える。因みにアレスはというと、先程から置物の様にピクリとも動かず空気になっている。どうしたのだろう…?
その時リビングの扉が開き、アリアメルのパジャマを借りたエミリアが入ってきた。やっぱりパジャマが少し小さかったか…まあ身長差もあるし仕方ない。
その瞬間置物になっていたアレスがスッと立ち上がり「おやすみなさいっ」と言って二階の寝室へとダッシュで上がって行った。
余りの勢いにエミリアがポカンとした顔で立っていたが、直ぐに我に返り。
「その、お風呂貸してくれてありがとう。それと…その、恥ずかしいからあまりジロジロ見ないでくれ」
と言った。
「あ、ああ。悪…――」
「…綺麗」
エミリアに謝ろうとしたタイミングで隣に居たアリアメルがそう呟いた。小さな声だったがエミリアには聞こえていたようで。
「き…綺麗だなんて…」
と照れている。
少し上気した頬、しっとりした長く美しい金髪に切れ長の瞳。目の前でモジモジしているエミリアは確かに綺麗だった。
エミリアは容姿を褒められても無視をするか「そうか」と短く返すだけで、こうして照れたり嬉しそうにしてる所をみたことがな……いや、昔に一度だけ赤いドレスを着たエミリアを褒めたら、ドレスに負けないくらい赤くなって照れていたな。
「…どうした? 珍しくぼーっとして」
いかん、少し考えこんでいたか。
「…いや、そろそろ子供達をベッドへ連れていくか」
「そうですね、じゃあ私はステラちゃんを連れていきますね」
アリアメルがそう言って膝の上で寝ていたステラを優しく抱き上げる。
「ああ、俺がラッツと…」
「あの、ニ…ニナは私が連れて行ってもいいか?」
エミリアが距離を詰めながらそう言ってくる。
「わかった、それじゃあ頼む」
俺の膝の上で寝ていたニナをエミリアが抱き上げ、腕の中で眠るニナに優しい表情を向ける。…エミリアもニナに堕ちたか。
エミリアにはアリアメルの部屋に泊まってもらい、アリアメルは俺の部屋で…と思ったら。
「グレイさん、今日は私の部屋でニナとエミリアさんと寝ようと思うんですが」
アリアメルがこうして自分の意見を言ってくることは珍しい。
「ん、二人が構わないならいいんじゃないか?」
「うん、勿論構わない。…ん? 今日は…?」
一瞬エミリアが何かに引っ掛かったような顔になる。
「それじゃあエミリアさん。二階へお願いします」
「え、ああ。任せてくれ」
エミリアは何か考えこんでいたが、アリアメルの言葉にハッとしてから二人…まあ正式には四人で二階へと上がっていった。
ラッツとステラを俺の部屋へと連れて行き、その後でイスカとフィオをそれぞれの部屋へ。
俺が寝室に入ろうとすると隣の扉からエミリアが顔をだしてきた。
「グレイ…その…」
「どうした?」
「いや、その…お、お休みなさい。それだけだ」
それだけ話すとエミリアは直ぐ静かに扉を閉める。
「…お休み」
閉じられた扉に向かって俺はそう返した。
――――――――――
略称を色々考えてくれてありがとうございます。悪Bという略称に首って文字が入ってるのは確かに斬新…
ニナはグレイとエミリアを堕としたからバストーク最強(?)
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