【KAC202210】真夜中500円

緑豆デルソル

第1話 仕事が終わりました。

 おや、こんな所に屋台がある。


「らっしゃい」


 屋台のオヤジが声をかけてくる。


「どれも安いよ」


 ほう。

 安いものには目が無いんだ。


 俺は屋台を眺める。


 真空 十万円

 血液検査 五万円

 煮沸 一万円

 真夜中 五百円


 高い。

 真夜中以外、全部高い。

 でもせっかくだし買ってみよう。


「オヤジ、真夜中をくれ」

「へい毎度」


 俺は500円硬貨を支払う。


「お兄さんは知ってると思うけど、真夜中は部屋で楽しんでね」

「わかってる」


 俺は真夜中を持って帰った。


 家に着くと、備え付けのスプレーに真夜中を入れた。

 そして寝る準備が出来ると、家中にスプレーを吹きかける。

 家の中が暗くなっていく。


 次の日。

 俺はいつもと変わらず仕事に行った。


 夕方になり、仕事が終わる。


 俺は昨日真夜中を買った屋台へと向かった。


 そこには屋台があった。

 昨日と同じオヤジが立っており、俺の顔を見るなり話しかけてくる。


「おや兄さん、今日も真夜中かい?」

「ああ」


 どうもこのオヤジは苦手だ。


「昨日は何に使ったんだい? カケ? イレ?」

「何でもいいだろ」


 俺は500円硬貨を取り出し、真夜中を買う。


「へへ、毎度ありがとさん」


 俺は家に帰った。


 ぐぅ。

 家に帰ると腹が鳴る。

 ぐぅ。


 今日はまだ夕食を食べていない。


 俺は真夜中を取り出し、半分に割る。


 そして半分になった真夜中を食べた。


 食感は軽いが、内容は重い。

 お腹はとても膨れる。


 そしてもう半分を食べる。


 もうお腹がいっぱいだ。


 満腹になったので、もう寝よう。


 次の日。

 とても元気に起きた。


 おそらく真夜中のおかげだろう。


 今日も変わらず仕事に行く。



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