第12話
12.
2555年4月3日(木) AM6:30 強襲揚陸艦 シロイベース 揚陸ハッチ
『シロイベース及びガレキング、ボギー3に接舷完了、陸戦部隊、出撃準備願います。』
ミクが揚陸ハッチで待機している陸戦隊に出番が来たことを知らせる。
「ようやく、俺達の出番か、こんなおもちゃに載せられたときは俺達を殺す気かと思っていたが、さすが日本国最優秀の提督だ、いい仕事をする。」
陸戦隊隊長のハワードがマサトの卓越した指揮能力を惜しみなく称賛する。
「ヤジ!ドロイド兵の部隊編成は完了しているのか?」
「大丈夫です、部隊編成はすべて完了しています。インプラントで指揮チャンネルに入って確認してください。」
ヤジよりドロイド兵の部隊編成が完了したとの報告をうけ、ハワードはインプラントを使用して指揮チャンネルに入る。
指揮チャンネルに入ると目の前にいる一様に黒い円柱に青白い手足のドロイド兵たちが、様々な色に塗り分けられる。
指揮チャンネルのフィードに各ドロイド小隊の隊長ドロイドから、準備完了の通知が次々に入る。
『よし、第1工作部隊、および第2工作部隊は突入口の作成に取り掛かれ、第1から第5突入部隊、工作部隊が突入口を開けるまで周辺の警護にあたれ。』
ハワードは今回の作戦のために準備された超光速通信デバイス併設型マリオネットを用いて、声を出すことなくドロイド隊に指揮を出す。
工作部隊より順調に突入口の作成が進んでいると報告が入る。
『ちょっとハワード、いい?』
ハワードの相棒であるA級アンドロイド、マリーより連絡が入る。
『どうした?マリー。』
『今回の作戦のために準備された潜入偵察ユニットなんだけど、なんかドロイド達でパッケージを開ける事が禁止されているの。なんか戦闘中に錯乱状態にならないように、事前に全隊員立会いの下、戦闘前に開ける事と書いてあるのよ。』
ハワードはその内容に疑問を感じながらもヤジをよびマリーの元へ向かう。
「マリー、それか例の全隊員立会いの下、開けないといけないパッケージというのは」
『提督ちょっといいか?』
『どうした、ハワード隊長。』
『新装備の潜入偵察ユニットなんだが、全隊員立会いの下で、開けないといけないと書いてあるんだが、何か知っているか?』
『すまない、俺も特に何も聞かされていない、適当なドロイドの視覚を送ってくれ、俺とミクも立ち会う』
『すまないな提督、余計な仕事を増やしてしまって、マリー例のパッケージを開封してくれ』
『了解…ってキャッ!』
ハワードの指示に従いパッケージを開封、ケースを開けたマリーがびっくりして尻もちをついてしまう。
『おいおい、キャッ!はないだろ。どれって・・・うわっ!!』
ビックリしたマリーを茶化しながら改めてケースを開けたハワードが同様に思わず声をあげてしまう。尻もちをついたりするのは隊長の沽券にかかわるので何とか耐えた。
『隊長、どうしたんです?そんな声出して…って、ひぃ!!』
ハワードの横からケースを覗いたヤジも思わず声をあげる。
『みんなしていったいどうしたんだ?ドロイド、パッケージの中を見せてくれって…うぷっ…』
『…』
ドロイドの視界越しにパッケージを見たマサトはその禍々しさに思わず胃の中の物を戻しそうになる。ミクに至っては気を失ってしまった。
『何なんだこれは…洗濯場の魔物改…敵施設への先行偵察、マッピング、敵施設への工作活動、無音攻撃…確かに優秀な新兵器なんだろうがこれは…』
ケースの中には例の洗濯場の魔物改が8つの触手をうねうねと動かして佇んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます