第5話

5.

2555年4月2日(水) AM5:47 東北星系 惑星青森 メガロシティ青森付近


『戦闘区域に到達、当機はAFを投下後、戦闘区域より離脱します。ご武運を。』

敵の先鋒とみられる集団は既にメガロシティ青森の守備隊と交戦に入っている。

俺達AF部隊はまずその敵の横っ面に突っ込み、敵をかき乱す。

その間に後続のドロイド部隊がメガロシティ青森と敵集団の間に防衛線を構築。

その後は防衛線で足止めを受けている敵の大物を中心に攻撃、殲滅を行う。

昔からの王道、鉄床戦術だ。

ハッチが開き機体が投下される。着地のショックを軽減するためにブースターをふかす。こちらの強襲に気付いた敵部隊がブラスターのようなEN兵器をこちらに向けて迎撃しようとしている。

敵から撃ち放たれた無数の弾のいくつかが俺のAFに命中する。しかし敵の攻撃はこちらにダメージを与える事はおろか、装甲を傷つける事すらできていない。全てAFの周囲に展開したENシールドで防がれているからだ。

着地と同時にローラーユニット起動、行きがけの駄賃がわりにハンドグレネードを一発地面に向けて転がす。

ハンドグレネードは爆発とその破片で敵サイボーグ兵を吹き飛ばす。

「やっぱり歩兵相手だと対AF専用装備じゃやりにくいな。」

俺はそこまで被害が出ていない敵の様子をみてそうこぼした。

「セイはまだいいよ、私なんて持っている装備のほとんどが近接格闘装備だよ?この相手じゃビームガンぐらいしか使い物にならないよ。」

対AF格闘戦仕様の装備だったサキがぼやく。

「こちらも電子戦ユニットは敵の妨害が強すぎて使い物になりませんね…電波以外の使用は想定されていないユニットなので仕方ないと言えば仕方ないのですが…」

コウメの方も背部に背負った電子戦ユニットが役に立たず歯がゆそうだ。

「FCSがリミッター解除済みなのが救いだな。これで量子レーダーが使えなかったらジリ貧だったぞ」

ヨウヘイも誘導兵器の使用をあきらめ、航空兵器に対して30mmガトリング砲をFCSで弾道補正を行いながら攻撃している。

敵がどのような戦力を持ち、どのような戦術で攻撃を行うのかすらわからない状態でのスクランブルだ。俺達以外のAFもそのほとんどが対AF用か、拠点攻撃用の装備しか持たないため、敵歩兵への対処に苦労している。

「みんな、敵歩兵は気にするな、予定通り大型兵器の破壊を中心に攻撃を行う、コウメ、電子戦ユニットは装備しているだけ無駄だ、パージしろ。」

俺達が敵大型兵器めがけて突撃を開始したのと同時に、俺達の後ろからついてきていた、輸送機隊がドロイド兵と簡易バリケードをばらまくように投下していく。

投下されたドロイド達は直ちに簡易バリケードを展開し、簡易的なトーチカを形成、敵歩兵に対し制圧射撃を開始した。

ドロイド兵が防衛線を展開、鉄床の形成を完了したことで、戦況はこちら側に一気に傾いた。

敵歩兵は前に進もうにもドロイド兵の抵抗が強く、突破することができない、大型兵器群も俺達AF部隊によってすべて破壊、僅か一時間ほどで敵は文字通り全滅することとなった。


数時間後、俺達はその場にとどまり、各拠点へ避難するために、輸送機に乗り込む民間人の護衛任務に就いていた。

敵は持てる手はすべて出し尽くしたのか、それ以降、軌道上爆撃や追加の降下部隊を送る事もせず、まるで俺達を監視するかのように、軌道上に佇んでいる。

「誘導兵器が使えないのは少々肝を冷やしたが、終われば楽な戦いだったな。」

ヨウヘイが俺にそうこぼす。

「ああ、楽な戦いだったな。」

「なんだよ、その言い方だと何か気に食わない事でもあるようじゃないか?」

「ヨウヘイだって薄々気がついているんだろ?今回の戦いは単純に数で押しつぶしただけだ。それに敵の戦術があまりにも稚拙すぎる。弾薬が尽きて軌道上爆撃ができなくなったから、今度は上陸部隊で制圧だなんて、今回のような戦力の逐次投入は悪手なのは誰の目から見ても明らかだろ?」

「敵が戦争慣れしていないだけじゃないのか?宇宙の知的生命体全てが俺達日本人類みたいに他の人類を蹴落とす形で宇宙に進出したわけじゃないんだし…」

「こちらの電波を傍受して日本語を習得、その上で降伏勧告をするような奴が戦争慣れしていないとは思えないけどね。」

「そりゃまぁ…そうだけどさ…」

「まぁ、そういう事は管理者と軍の参謀本部が考えてくれるさ。俺達はただできる仕事をやればいい。」

俺はそう言って空を仰いだ。

この戦闘結果をあの敵艦隊は観察していたはずだ。

まるで俺達を試すかのような扱いに俺は少し苛立っていた。

「本当に気に入らないな…」

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