頁37:宇宙宴会とは
先程の子が気にはなっていたけれど、今はひとまず盛り上がる人達に水を差さない様に
まあ騒乱の中心は予想通りと言うか…おや?
「いいぞシシバぁーーー! もう一杯どっこいしょーーー!!」
「お…おーーーう…、ドンとこーーーーい……」
「シシバさぁぁぁぁん❤ コレも食べてぇぇ❤」
「は…はーーーーい…、イタダキ…マーーース…」
案の定もみくちゃにされている。けれど彼の性格ならその状況を大喜びで楽しんでいる
もしかして何かあったのか…大丈夫かしら。
余程の事が無い限り死なないとは言え、一応心配はしておく。
「あ!!!!!!!!」
近付く私に気付いた彼がひと際大きく声を発した。物凄く嫌な予感。
「ほらほらほらほらほらどこ行ってたのサ
誰が
しかし彼に
予め覚悟を決めておこうと決意しその輪の中へ。歓喜に沸き立つ人々。
「あの、この度は誠に
「ミサキ様、そーゆーのはいいから!」
ダメ神が
「さささ、
「え、え?」
村人男性から木製のジョッキに見える食器?を手渡される。持ったのはいいけど持った気がしない。先程の料理の時みたいに粉砕しない様に全力で感覚をフル動員する。
そしてそのジョッキらしき物に注がれる酒と思しき液体。液体なのか不明だけどサラサラと流れて溜まっていく様子を見るに恐らくは液体で、酔った感じの村人を見るに多分酒に近い成分を持っているのだろう。
こんな意味不明な飲み会はそうそう経験出来ない。
「「「 そ~れ、イッキ! イッキ! イッキ! イッキ! 」」」
本気な目で必死にターゲットを
私は力加減を間違えない様に慎重にジョッキっぽい物のふちを口に付けると、中身の物体を言われた通り一気に飲み干す。口内の粘膜に触れた感じがしない空気の様な何かを、
「「「 うおおおおおおおおお女神様あああああああ!!!! 」」」
「……アレ?」
狂乱する村人、困惑する
飲み込んだ物体に不安が無いと言えば嘘になるが、日常的に口にしているであろう村の人達が平気そうだし名称未設定による認識不可で恐らくは摂取した我々には何の影響も及ぼす事は無いだろうと予想した。…感覚的には無を通り越して虚無だけど。
「ミサキちゃん様、『 』を吹き飛ばした時はびっくりしたけど女神様だったのね!(キラキラ) あの、これ…私が作ったんだけど…口に合うかしら…///(トゥンク)」
お願いだからその件は掘り起こさないで下さい…。それと『ちゃん様』ってあなた。
妙に瞳が
素材が予想不可、匂い無し、温度も不明、料理名もきっと無音。ヤケクソで命名するなら『ああああのああああ風ああああ』だ。この流れ、本文中に
「ありがとうございます、頂きます」
「……アレ???」
即席で笑顔を作ると彼女にお礼をし、円盤を受け取る。勢い余って空に円盤投げをしてしまわない様に本気の集中だ。こんな何かにつけて全集中する飲み会はそうそう経験出来ない。
女子は嬉しそうにキャイキャイとはしゃいでいる。
うーん、元の世界で言う所の『女子高で先輩に憧れる後輩』みたいな感じだろうか。彼女の気持ちを害する訳にはいかない。
唯一助かったのは料理?にフォークと思しき棒状物体が添えられている事だった。実際にフォークかは分からないが一本だけらしいからフォークか
手が震えない様に右腕の全筋肉を制し棒状食器を握る。無に無と無が重なり合った料理?の
「…どうですか…?」
女子が恐る恐る感想を聞いてくる。
感触が分からないけどとりあえず喉に引っかからない様に
「お料理、お上手なんですね」
「アルェーーーー????」
ニコリと微笑み健気な彼女の顔を立てる。完全に目が点の
それを聞いて耳まで顔を真っ赤にすると、脳天から白い煙を本当に吹き出しながら女子は逃げていった。機関車みたい。
───と思ったら、更に複数の円盤を手にして舞い戻って来た。
「ありがとうございますっ! 嬉しいです…!! あの、あのあの! これもみんな私が作ったんですっ! ぜ、ぜひ!!」
そ う 来 た か 。
その未来は予想していなかった。
「ええ、頂きます。ねぇ、
「ヒッ!? ァ…ア…ハイ…!」
私を使って逃げようと思ったのだろうが… 逃 が す も の か 。
「いいぞシシバぁぁぁぁ!!!」
「うおおお女神様ぁぁ!!」
「ミサキちゃん様~!」
「……!!」
「…!」
「」
どうやら長い夜になりそうだ……。
(次話/38へ続く)
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