第264話 戦争準備

『とはいうものの……これからどうしようか。サマエルが復活したらこっちにも被害食らうだろうし、何もしないまま手をこまねいているのはなぁ……。

 何か打てる手段とかないの?』


 戦いで疲労してはいるが、事は急を要するということで、竜神殿内部の会議室でセレスティーナに抱きかかえられたまま、リュフトヒェンは彼女に向って問いかける。


「とりあえず、向こうのレジスタンス活動には支援や物資なども渡してはいますが……。いかんぜん勢力に差がありすぎますからね。

 悪魔たちの勢力を削いでこれまで長引かせていますが、なかなか根本的解決までは……。」


 椅子に座りながらリュフトヒェンを抱きかかえて、頭を撫でながらセレスティーナはうーんと考え込み、一つの結論を出す。


「もう神聖帝国に宣戦布告して侵攻しちゃいましょうか。あれだけ腐敗が進んでいるのなら、必然的に軍も弱体化しているでしょうから我々の軍ならば問題ないのでは?

 まあ、ウチの国の構造上、私たちの領土の軍&辺境伯軍&竜都近辺の軍との連合作戦になるでしょうが。」


 なるほど。確かに復活される前に侵攻を行って神聖帝国を占拠するというのは大きな手段の一つである。

 しかし、その中でも精鋭であり竜皇軍中枢とも言える辺境伯軍は先ほどの魔導帝国との戦いに加え、国境線上の陣地防衛建設に多大な労力と軍費を使っている。

 その状態ですぐさま他国に侵攻するなど、辺境拍が激怒する可能性もある。

 まずは、辺境拍ルクレツィアに現在のそちらの軍の状況を聞いて、開戦を行ってもいいか聞いてみる必要がある。

 純粋な人間同士の戦争については、向こうの方が専門家である。


『後は、神聖帝国の軍の詳しい情報について知る必要があるな……。レジスタンスに連絡を取って情報を集めるようにいっておいてくれ。後は、神聖帝国国内の詳しい情報も知りたい。』


「かしこまりました。早急に行います。」


『あとは、竜都に連絡して向こうの戦力の状況も聞いておいて。それと戦争の兵站と魔導帝国へと支援と食料は大量に必要になるだろうから”大釜”を起動させて食料生産を行って、ポーションで稼いだ外貨で食料を買い込みと……。

 あああ、せっかく稼いだ外貨が吹き飛んでいくぅ~。』


 その頭を抱えたリュフトヒェンを撫でながら、セレスティーナは言葉を返す。


「やっぱり戦いは金ばかりかかって空しいものですね……。まあ、今回はやらざるを得ない状況なわけですが……。」

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