第256話 急降下爆撃

「うおおお!これでも食らえ!!」


 市民側についた竜機ノーム・ニクスが結界を展開し、市民側を守っている間、その近くにあるカタパルトにとある液体の詰まった樽が装填され、そして次の瞬間敵竜機側へと発射される。

《サラマンダー・ハーゲン》は、それを撃ち落とそうと射撃するが、その火炎弾は命中せずに、そのまま樽は《サラマンダー・ハーゲン》に直撃し、大量の液体が機体へとかかる。

 また油の攻撃か?と思いきや、その液体は別に引火したり爆発したりはしない。

 だが、その液体がかかった瞬間、ぎぎぎと瞬時に機体の動きが鈍くなっていき、やがて完全に動かなくなってしまう。


《装甲補修用の硬化剤か!?小賢しい真似を……!!》


 それに答えるように、カタパルトは次々と硬化剤の入った樽を射出していく。

 当然、全て完全に命中するわけもなく、空中で火炎弾によって叩き落されている樽も、逸れて別方面に命中する樽も多い。

 だが、怪我の功名か、硬化剤は燃え盛る炎を阻害する効果もあったらしい。

 燃え盛る炎が消えていくのはいいが、それがかかった建物をどうするか、頭が痛い事案であるが、今はそんなことを言っている状況ではない。

 そうこうしている内に天蓋結界が解除され、空から二体の竜が帝都へと舞い降りてくる。


 本来ならば、帝都に竜が攻撃を仕掛けるなど最悪の状況なのだが、あの竜たちはこちらに味方してくれる竜である、とゾーンから指示を受けている市民派は、こちらの竜機が攻撃されないように必死になって白旗を振る。


 それを見ながら、アーテルとリュフトヒェンは《サラマンダー・ハーゲン》を始めとした敵竜機に対して急降下攻撃を仕掛けていく。

《サラマンダー・ハーゲン》に対して急降下を仕掛け、自分の周囲に浮かんでいる魔力球を切りはなし、急上昇と共に《サラマンダー・ハーゲン》へとぶつけていくのだ。


 漆黒の魔力球と、雷撃で構築された雷球を爆撃代わりにぶつけられた《サラマンダー・ハーゲン》は、その攻撃によって粉砕されていく。

《サラマンダー・ハーゲン》も両肩の魔力砲台で対空砲火は行っていくが、その程度の火炎弾が二体の竜に当たるはずもない。

 次々と破壊されていく敵竜機を見て、皆は一斉に歓声を上げていく。


「いいぞ!やっちまえ!!」


「あんな奴らなんて俺たちの国の軍じゃねえ!全部ブッ倒してしまえ!!」

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