第246話 市街戦の始まり

「天蓋結界、展開ッ!!」


 市民たちと兵士派は協力して、帝都の天蓋結界を作動させた。

 リュフトヒェンが作り出した竜都のように、地脈を操作して竜語魔術によって作られたものではないため、あちらに比べれば弱いが、それでも十分な防御力はある。

 これを展開されたら、シルフィード系列の竜機は爆撃しても全て防御されてしまう形になる。竜に対抗するため、もし帝都が竜の強襲にあった時の事を考えての防御機構である。(それが内紛で使われるのは皮肉だが)

 そうなればどうなるか。地上侵攻を行って帝都を占拠するしかない。

 それは、つまり帝都内での市街戦を意味していた。


『俺たちが盾になる!お前たちは攻撃を!』


 市民側についた×印のある竜機ノーム・ニクスは結界を展開して市民や兵士たちを防御する。

 そして、それに防御されながら、隙を狙って大砲やマスケット銃で攻撃を仕掛ける。

 これが兵士派の基本戦略である。

 そして、それらに対抗して差し向けられるのは、数機の火力支援型竜機の《サラマンダー・ハーゲン》である。

 肩部に二門の魔術砲台を備えたその竜機は、その砲台を《ノーム・ニクス》に向けて火炎弾を発射する。

《ノーム・ニクス》の結界によってその火炎弾は弾き返されるが、当然のように弾き返された火炎弾はその辺の家に直撃し、燃え盛っていく。


「あいつらめ!帝都を焼野原にするつもりか!!クソが!!」


 結界に守られた彼らは、隙を見て結界の外に出てマスケット銃を撃つがそれらはほとんど外れるかハーゲンの装甲に弾かれてしまう。


「だったら、これならどうだ!!」


 彼らは、ワイバーンによって分解された部品を組み立てる事で作り上げたバリスタや投石器を持ち出して《ノーム・ニクス》の近くへと持ち出していく。

 そして、タイミングを計って結界を解いた瞬間に、バリスタの矢やカタパルトの石を打ち出す事によって、《サラマンダー・ハーゲン》を攻撃する。

 兵士派もバリスタやカタパルトの専門の兵士ではないため、その大半は外れるが、バリスタの矢が《サラマンダー・ハーゲン》に直撃し、さらに砲台部にカタパルトに直撃する。

 魔術砲台部に投石が直撃し、内部に装填されていた暴走した魔力はそのまま炸裂し猛烈な爆発は《サラマンダー・ハーゲン》の肩部と首部を吹き飛ばす。

そして、その機体はゆっくりと倒れていった。


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