第228話 アブレスト防御陣形

《おのれ!俺の部下を!!》


 シルフ3を迎撃されたシルフ1は、それでも冷静になりながら機体を駆る。

 これにより事実上二対二の決戦になる事になったのを確認しながら、二機の竜機は空を駆ける。

 二機は隊長機とそのほぼ水平真横に存在する二番機というアブレスト陣形の形になりながら空を駆ける。


《あの二機、やはり連携が取れているな……。我が囮になって敵陣形を乱すから、その隙にアーテルは攻撃を頼む!!》


《おっ!妾がさらに撃墜していいのか!?撃墜数増やしていいとか太っ腹ァ!では頼んだぞ!!》


 そう言いながら、リュフトヒェンは急速反転からの宙返りによって竜機たちの後方へと回り込む。

 アプレスト陣形は、常に二機が連携を取りながら戦う事ができるという優れた利点がある。ならば、その連携を崩すことが一番だと判断したリュフトヒェンは、二機の後方から攻撃を開始する。

 それに対して、竜機のシルフ1は左旋回を行い、リュフトヒェンをおびき寄せる。

 シルフ2を追尾した場合、シルフ2からの攻撃を食らってしまうため、リュフトヒェンは左旋回を行ったシルフ1を追尾する。

 シルフ1とリュフトヒェンは旋回機動を行い、お互いの後ろにつくために高G旋回を行う。この時シルフ1はリュフトヒェンは対してプレッシャーを与えながら高G旋回を強要して移動エネルギーを消耗させる。


 その間にもう一方のシルフ2は旋回した地点で直線飛行に移行し、敵機を外側から挟み込むための余地を作り、エネルギーを確保する。

 そして、反転を行い、高G旋回を強要されているリュフトヒェンの後部という絶好のポジションへとつく。


《もらった!!》


《バカめ!もらったのは妾じゃ!囮にまんまと引っ掛かりおって!!》


そう、絶好のポジションについたシルフ2だったが、それに浮かれてアーテルの存在を頭から離したのが運の尽き。

後方ではないが、アーテルに機体の腹をさらすというアーテルにとって絶好のポジションになったのである。


《くたばれッ!!》


それと共にアーテルはシルフ2の無防備な腹に対して、魔力レーザーを次々と叩き込んでいく。

その彼女のレーザーは、金属の装甲を引き裂き、切り裂き、内部構造諸共竜機を切り裂いていく。

そして、それに竜機自体が耐えうるはずもなかった。

悲鳴と共に、シルフ2の竜機は爆発し空中に炎の華を咲かせることになった。

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