第215話 敵国には地脈の力を絞ります。
『で、我思ったんだけど、神聖帝国と魔導帝国への地脈の供給を絞ってもいいと思うんだ。敵国にご丁寧に地脈供給してやる理由もないし。』
幻影魔術で、竜皇国、神聖帝国、魔導帝国の三国に流れる大まかな地脈の流れを写し出し、リュフトヒェンは呟く。
地脈の流れなどトップシークレットもいいところなので、地図に書き写すのは危険である、という彼の判断である。
「ですが、地脈の遮断はティフォーネ様は怒るのでは?あの人はそういう人間の理論なんて意にも介さない竜ですよね?」
自然界の化身とも言えるティフォーネにとっては、敵国の領地だろうがなんだろうがきちんと地脈のエネルギーを供給しろ、という自然派の立場である。
私利私欲で地脈のエネルギーを遮断するなど言語道断という考えなのだろう。
『うん、だから完全に遮断するのではなくて、エネルギーの供給を絞っていく。
エネルギー不足になった二国は、農作物の出来が悪くなったり、地脈系の魔術や結界の使用なども多少難しくなるはずだ。』
完全に遮断してしまうとママンから文句を言われるだろうが、これくらいなら大丈夫だろう、という彼の判断である。
基本的に大雑把なママンなら「供給さえされていればそれでよし」なので、そこまで文句は言ってこないだろう。
『魔導帝国はただでさえ大地が荒れている上に地脈の流れも弱ったら不作、食糧危機になる事は間違いない。
そこに我々が作り出した食糧を穏健派に供給するって訳よ。
こうすれば向こうも感謝するだろうし、こちらへの支持も増える。魔導帝国自体に打撃も与えられるし。』
うーんこのマッチポンプ、とリュフトヒェンは心の中で呟く。まあ、実際にマッチポンプだから仕方ないのではあるが。
『まあ、それで恨みを買うのも面白くないから、こちらに味方する穏健派にはバアル神の派遣も検討しておいて。
地脈の力を絞っても、バアル神の権能なら通常の量の作物を取れるぐらいにはなるでしょ。』
流石に穏健派のところだけピンポイントで地脈の流れを解放するのは難しい。
それならば、バアル神の慈雨の方が遥かに早い。
『自分のせいで餓死者とか大量に出るのは嫌だからあんまりやりたくなかったけどね……
。まあ、これくらいならいいでしょ。』
その言葉にセレスティーナも頷いた。
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