第209話 ノーム・エルフリーデ対辺境伯2
その後も彼女たちの戦いは続いていた。
まるで張り付くように跳躍を繰り返しながら、竜骨剣でノーム・エルフリーデの装甲を切り刻んでいくルクレツィアに対して、邪魔だ、と言わんばかりに竜機は爪を振るうが、まるで粘勁のように張り付きながら攻撃を仕掛けている彼女にはうまく当たらなかった。
二足歩行で立ち上がったノーム・エルフリーデは軽く10メルーほどになる。
つまり、軽く三階か四階ほどのビルが襲いかかってくるのと同じだ。
そんな巨体に真正面から戦いを挑むなど、何処からどうみても正気ではない。
だが、彼女はヒットアンドウェイと機動力で、次々とノーム・エルフリーデの装甲を切り裂いていった。
業を煮やしたノーム・エルフリーデは、口を開き、魔力のブレスを放つべく一瞬だがチャージ時間のため硬直体勢に入る。
だが、その一瞬でルクレツィアは十分すぎた。
彼女は、その瞬間を見計らって、機体の胴体部を足場にして跳躍し、さらに肩部を足場にしてさらに天高く跳躍する。
「ハアッ!」
そうして跳躍したルクレツィアは、そのまま重力に従いながら、ノーム・エルフリーデの眼球部、ツインアイの片方に竜骨剣の刃を叩き込む。
飛び散るガラスにも似た透明な破片をガードしながら、彼女はさらに頭部を足場にしながら反対側に回り込み、もう片方のツインアイにも刃を叩き込んで破壊する。
『ガァアアア!!』
視界を奪われたノーム・エルフリーデは自棄を起こしたようにそのまま魔力のブレスを四方八方に撒き散らす。
常人が食らえば肉体が消滅しそうな威力の魔力の吐息などまともに食らってはひとたまりもない。
ルクレツィアが機動力を生かした戦いをしているため、下手に手出しできない兵士たちも慌てて退避する。
一方、魔力の余波を食らう形になったルクレツィアだが、エレンスゲの鱗のドラゴンスケイルの防御力で弾き返されて全くの無傷である。
『ええい!メインカメラが真っ暗で何も見えない!こうなったら!』
ノーム・エルフリーデの胴体部装甲が展開し、そこから竜機を操縦している操縦士が姿を見せる。メインカメラをやられた以上、直接的な有視界行動で攻撃を仕掛けようというのだ。
だが、それはまさに致命的な行動だった。
操縦士が首を出したのを確認したルクレツィアは、一度ノーム・エルフリーデの頭部から腕部に着地すると、くるりと回転してそこを足場にして胴体部に剣を向けて跳躍する。
「その首、貰った!!」
こちらに対して剣を突き付けながら飛び込んでくるルクレツィアの姿、それが操縦士の見た最後の景色だった。
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