第46話 万事休す!?
「ハアアアアアッッ!!」
渾身の力で殴るテラス。
それを拳で受け止めるキルバス。
衝撃で天が割れる。
そこにミエーカが剣を振り下ろす。
同じく剣で受け止めるキルバス。
斬撃はキルバスを越えて、地面に巨大な谷を作り出す。
ミエーカとテラスはそのまま剣と拳を押し込むが、キルバスはふっ、と力を抜いて後ろに下がる。
ぶつかるミエーカとテラス。
その隙を見逃さず、闇の光線を放つキルバス。
避けられないと悟ったテラスはミエーカを押して逃がす。
そして光線をまともに食らう。
しかしテラスのおかげで無事だったミエーカが、すかさず剣を振ってキルバスを吹っ飛ばす。
キルバスは山にぶつかる。
それと同時にゼノが魔法を使い、地中のマグマが噴き出す。
マグマはキルバスを飲み込み、天まで燃やす。
しかしキルバスは闇の魔力を放って、マグマを吹き飛ばした。
そこにミエーカとテラスが攻撃を加える。
だがキルバスは焼け爛れた体を瞬時に回復させて応戦する。
そして苛烈な戦闘が繰り広げられる。
彼らの戦闘でいくつも山が消え、いくつも谷ができる。
大地に雷が満ち、天は赤く燃える。
お互いに傷を治すことができるから、なかなか決着が着かない。
どちらが先に音を上げるかの根比べ。
ゼノたちはそう思っていた。
だが、急に決着の時がくる。
ゼノが消滅魔法を放つ。
それを躱したキルバスは、剣を振り下ろして斬撃を飛ばし、ゼノの左腕を吹き飛ばす。
そしてすかさず距離を詰めて、さらに剣を振るう。
それをゼノは右手に結界を張ってガードする。
しかし弾き飛ばされる。
さらにキルバスは返す刀でゼノを切ろうとする。
一方ゼノは今度は左手でガードしようとする。
そして右手に消滅魔法を発動させてカウンターしようとする。
フィヤネイトが瞬時に治してくれるので、それで問題ないはずだった。
しかし左手は治っておらず、血が流れ続けていた。
仕方がないので、すぐに右手でガードしようとする。
しかし間に合うわけがなく、闇の剣がゼノの左肩に深く切り込まれていく。
このままではマズイと思ったゼノは瞬間移動で逃げる。
地面に着地したゼノは肩口を押さえ、荒く息をする。
押さえている肩口からも、切られた腕からも大量の血が流れている。
しかし何とか胴体を一刀両断されることは避けて、一命を取り留めた。
「なぜ治らない!?」
ゼノは近くにいたフィヤネイトに聞く。
「……魔力が尽きました」
「何を言っている!? 魔力吸収でいくらでも……!」
そこでゼノは、自分も魔力吸収ができないことに気付いた。
「大気に魔力がない……!?」
驚愕するゼノ。
その近くにミエーカとテラスが吹っ飛ばされてくる。
二人とも血だらけになっている。
「ハハハ! 魔力が尽きたな!」
上空でキルバスが高笑いする。
「そんな馬鹿な……。大気から吸収してるんだぞ……!?」
ミエーカは驚愕し、テラスも言葉を失う。
「大気の魔力も無限じゃない。急激に使いすぎたな」
言いながらキルバスは右手を天に掲げる。
「いずれは元に戻るだろうが、その前に滅ぼす!」
キルバスの右手に闇の魔力が集まりだし、黒い球を作っていく。
「私は全人類からいくらでも補充できるからな。人が生きているかぎり闇も尽きない!」
キルバスの元へ世界中から闇の魔力が集まりだし、球はどんどん大きくなる。
しかし怪我を治せず魔力も尽きたゼノたちは、それをどうすることもできず、奥歯を噛み締めるしかなかった。
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