第46話 ギルパネア王国
「んー! 賑やかで活気があって良いなー!」
俺は馬車から降りては伸びをして空気を吸う。
俺達は今シャリアーテ王国から離れてギルパネア王国に来ている。
ギルパネア王国は世界の中心にある国で選抜戦に出場する国の一つでもある。
そして世界の中心と言われているだけあってギルパネア王国の首都は活気がある。
「そうですね。選抜戦の選手として来ていなければ観光したかったですね」
と言ってお淑やかな笑顔を浮かべているのはソフィアだ。
俺達が乗っていた馬車には俺とソフィア、エリカそして生徒会長が乗っていた。
「久しぶりのギルパネア王国だけどやっぱりこの活気は凄いわね」
さすが王女様だ。もう既にこの国に来たことあるのか。
「そうだな。私が国を治める様になったらこの国のような活気のある国にしたいものだ」
生徒会長がそう言って頷いた。
「ところでソフィア、この首輪なんだ?」
俺は気になった事を聞いた。俺が馬車で寝ていた隙にいつのまにか首に付けられていたのだ。
それも犬とかについてるリードのついたやつだ。
現在手綱はソフィアが握っている。
「ああ、これですか? マーリン先生がリックさんに付けておけって」
マーリン? なぜあいつが……
「アンタが問題ばかり起こしてるからでしょ」
「まて、俺は問題なんて起こしてないぞ! そうですよね! 生徒会長!」
俺が生徒会長にそう言うと困ったような顔をした。
「君は何かと話題だぞ? 貴族に喧嘩を売ったりしていると、あと交流戦での印象が強いな。空から降ってきた参加者なんて前代未聞だからな」
なん、だと? でも全部俺がそうしたくてしたわけじゃないぞ。
「そうよ、アンタ私のクラスでも有名よ。というかアンタに関わるなってクラスメイトから言われてるわよ」
「初めて聞いたぞ!」
「私も言われますね」
とソフィアが追い討ちをかけてきた。
「ぐっ、俺の心は限界だ」
俺はメンタルがやられて倒れてしまう。
「元気をだせ、私はリックの事結構好きだぞ?」
と言って手を出してくれる生徒会長。
あらやだイケメン。キュンとしちゃった。
「すすすす、好きってお姉様は何を言ってるんですか!?」
と言って顔を赤くするエリカ。
「そうですよ!」
心なしかソフィアは怒っているみたいだ。
「彼のように面白い人間はそうはいないだろ? 貴族に対しても一歩も引かず張り合うどころか倒してしまったんだからな」
「生徒会長……」
やだ、ほんとに惚れちゃいそう。
「私のことはリディアで構わない」
「リディア先輩っすね、了解です!」
「ああ、よろしく。リック」
おお、感動だ。まさか美人の生徒会長と仲良くなれるなんて。
「ところでこれからどうするんですか?」
とソフィアが生徒会長に聞いた。
「ああ、これからはホテルで他のみんなと合流する手筈になっている」
という事はこの街を少し歩くってことか。
「じゃあちょっと観光しよう! お腹もすいたし」
と言って歩き出すと俺の体を電撃が貫いた。
「あばばばば」
俺はその場に倒れてしまう。
「あっ、言い忘れてましたけど、このリードがピンと張られると魔法が発動するようになってるらしいです」
とソフィアがすごく棒読みで言った。こいつ分かってて言わなかったな。
「それを先に言えよ! あばばばばばば」
また電撃が俺を貫いた。
「ちなみに私の意志でも魔法を発動できます」
「そ、それやる必要あったのか……」
絶対わざとだ。確信犯だ。エリカとリディアを見てみろ。若干引いてるぞ。
「エリカお腹空いていないか?」
「お腹すきました!」
と言ってなんでか目を合わせた瞬間この場を去ろうとした。
「そ、ソフィアさん。なんか怒ってます?」
「いえ? 怒ってないですよ? さっ、早く2人に追いつきましょう」
と言って突然前へ歩き出した。ま、まて俺はまだ電気で痺れて体が動か……
「あばばばば」
3度目の電撃で体が痺れて動けない。
「……すみません少しイライラしてました」
と申し訳なく思ったのか突然近くまできてソフィアが謝ってきた。やっぱり怒ってたのか。まあ仕方ないか。
「いや、そう言うこともあるよな。ただしもうやめてくれよ?」
「はい、ごめんなさい」
これで一件落着か。と思っていると遠くから声をかけられた。
「おっ、リックじゃないか! なんか面白いことしているね」
声をかけられた方を見るとレオナがいた。それも制服を着ている。うん、こっちの方がしっくりくるな。
「うげっ!? レオナ!?」
「うげっ!? とはなんだいアタイに会ったんだからもっと嬉しそうにしろよ」
そうは言うがレオナに対してあまり良い印象がないしな。
「で? なんのようだ?」
声をかけたからには何か用事があるのだろう。
「知り合いに会ったら声くらいかけるさね、それよりどうだい? 久しぶりにおっぱい揉んどくかい?」
は? 何を言ってるんですか? おっぱい揉んどくかい?
そこまで言われてレオナとの距離がおかしい事に気づいた。微妙に遠いのだ。
こいつさっきまでのやりとり見てたな。それでギリギリ俺の射程外から挑発してるのか。
性格悪いぜ。
「リックさん……まさかとは思いますけど……」
ソフィアの方を見るとこれで行ったらゴミですよ? みたいな目をしている。
「当然だ。大体俺はビッチの乳を触って喜ぶ趣味はない」
と言ってお尻についた砂埃を払いながら立ち上がる。
「なんだい面白くないねぇ」
と言って俺に少し落胆したような表情を見せるレオナ。
かかったな。
「隙ありぃっ!」
俺は右手を伸ばす、馬鹿めこの俺がその程度で諦めるわけないだろ。
届け、あと少しで俺の右手がおっぱいにとど……
「あばばばばばば」
電撃を喰らうが右手を少し上にやれば。
右手を上にやるが俺の手は空を切った。なぜかと言うとソフィアがリードを引っ張ったからだ。
「あばばばばば」
さらに電撃が俺を襲う。
「アハハハハ! やっぱりリックは面白いね」
レオナは腹を抱えて爆笑しているがそれどころじゃない。
俺の体は電撃を浴びながら引き摺られている。
「あばばば、ソフィア、あばばば、やめ、あばばばば」
「知りません」
ととても冷たい目で言われて俺は2人に合流するまで黒焦げになるくらい電撃を浴びるのだった。
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