第35話 攻略法

 周りを見渡すとようやくモンスターの影が見えてきた。

 ゾンビやリザードマンラミアなどの姿が見えた。


 数を減らさないとどうすることもできないか……


 逃げるにしてもモンスターが囲むようにして襲い掛かってくるのでどこかに穴を開ける必要がある。


「エリカ! ソフィア! 1番モンスターが薄いのはあそこだ! そこを狙うぞ!」


 俺はモンスターの数が1番少ない場所へむけて指をさす。


「分かったわ!」


「はい!」


 2人は頷く。


「ファイアストーム!」


 風魔法と炎魔法の合わせ技だ。炎は渦巻きを作りモンスター達を巻き込みつつ前に進んで行った。


「エクスプロージョン!」


 エリカも魔法を放つ。


「ルシフェル! お願いします!」


 ソフィアはルシフェルを呼び出す。


 俺たち3人の攻撃でモンスターは怯み勢いが止まる。それに俺達が攻撃した場所のモンスターがいなくなっている。



「よし! いけるぞ!」


 俺達はそこへ向けて走り出す。




「はぁ、はぁ……」


 あれから走り続けてモンスター達と距離が取れた。


「それにしてもモンスターがあんなにいるなんてね……」


 そう俺たちはこのダンジョンに来てからモンスターに出会っていなかったのだ。それが一気にあれだけの量モンスターが出てきた。


 そして俺は大事な事を忘れていた。この死の砂漠の構成についてだ。


「誰かさんがあんな事をしなければ……」


 と言ってジト目でセシリアから睨まれた。


 うん、俺もあのときは失敗したと思ったけど実はあれがこのダンジョンの正攻法なのだ。


 いや正確には音を立ててモンスターを呼び出すと言うところがだ。


「それに関してはすまん。でもアイツらが次の階層に向かうための鍵になるぜ」


 俺の言葉を聞いてエリカとソフィアは首を傾げた。


 話をすっ飛ばしすぎた。


「俺も今思い出したんだが、ここにくる前に情報を集めていた時に聞いた話なんだが一層目はただ歩き回っているだけじゃ絶対に攻略できないんだ」


 勿論ゲームで知っているからな! なんて言うわけにもいかないのでそこは誤魔化しておく。


「え? それってどう言う事?」


「このダンジョンは見たらわかるが普通のダンジョンとは全くの別物だ。このダンジョンはダンジョン攻略と言うよりも試練を乗り越えていくと考えた方がいい」


「試練ですか?」


「おう。その情報によると最初の階は強さを見せよ、だ」


 確かゲームの中でもこの情報は図書室の本に書いてあったんだよな。俺は攻略本に頼ったけど……


「強さを見せろってモンスターと遭遇したのはアンタが馬鹿な事をした時だけよ?」


「そう。普通に歩くだけじゃクリアできないだろ? だからモンスターを呼んで100体倒せばいい」

 

 確か100体倒せば地下への入り口が現れるんだよな。


「ですが、あの状況で100体も倒すのは難しいかと……」


「普通なら難しいけど今回はソフィアのルシフェルがいるだろ?」


「いくらなんでもルシフェルだけでは難しいかと思いますよ?」


「そうね。召喚獣を入れても4人しかいないのよ」


「だから普通に戦うんじゃない」


 とだけ言って俺は空に指を向けた。


「「???」」


 2人は首を傾げている。だが俺の作戦を聞いたらさすがです! となるに違いない。




「それじゃあいくわよ、エクスプロージョン!」


 エリカは地面に向けて魔法を放つ。


 ドカーンという爆発音後にドドドドと地鳴りのような音が聞こえた。


 モンスターが俺たちを攻撃しようと囲もうとするが動けないようだ。


「うははは! ファイアストーム! ブリザードストーム! サンダーストーム!」


 俺はそこに容赦なく魔法を放つ。


 モンスターは逃げるの身で反撃してこない。


 何故かって? 俺達がルシフェルに抱えられながら空を飛んでいるからだ。

 今回のエリアにいるモンスター達は飛行能力がないモンスターばかりで俺達に近づく事すらできていない。


「ねぇ、これって卑怯じゃない」


 王族として外道のようなことが気に入らないのかエリカがジト目でそう言った。


「そうですか? 私は結構好きですよ! エアカッター!」


 ソフィアは容赦なくモンスターに魔法を放っている。心なしか楽しそうだ。……このドSめ。


「がはは! 卑怯でも勝てばいいんだよ! アイススパイク!」


 そうこう言いながらモンスターを倒していると突然砂が動き出して階段が造られた。


 モンスター達は階段ができたと同時に何処かへと去っていった。


「な? 簡単だったろ?」


「はい! 下ろしてください」


 ソフィアがそう言うとルシフェルは俺達をゆっくりと地面に下ろしてくれた。


「何はともあれとりあえずこれでこの階層はクリアだ! 次に行くぞ!」


「はぁ、そうね」


 エリカはため息をつくがすぐに切り替えてくれたようだ。


 俺達は階段を降りていくのだった。

 

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