第10話 餌付け成功きびだんご!?
「……次にああいう輩が現れたら……あれよ。俺が一瞬で、その……バチコーンよ!」
「ふっ」と、ラァムが鼻だけで笑う。
「バチコンとあなたがやられるんですね、レット」
「当然だろ!」
「胸を張らないで下さい」
「だからまた助けてくれよな!」
「だから胸を張らないで下さい。助けて貰う態度でもありませんし、何より言っていて恥ずかしくないんですか?」
「よーし土下座ならいいんだな? こうか?」
「躊躇して下さい。というかもはや土下座が意味をなさないほど軽いですね……。恥ずかしさの概念が無いんですか?」
恥ずかしいに決まってるだろ俺のプライドはズタボロだよ……。
その後は何事も無く二人はギルドへ帰還。
そこで雀の涙ほどの報酬を受け取り、それを半分ずつに分けた。
「いいのか? 半分も貰っちゃって。俺、何もできなかったのに……」
「料理をしました」
「クエスト関係無いじゃん!?」
「いいんです、あのオムレツにはその価値がありましたから」
不服ではあるが、俺も祖母から習った料理を褒められのは満更でもない。
「……わかったよ」
なんとか納得し、分け前を受け取る。
でもこれで、せっかく組んだパーティも本当におしまいなんだよな……。
「では私はこのまま今日は宿に戻ります。また明日、レット」
「えっ」
また明日……って?
それに、パーティ解消の届けもまだ受付でしてないのに?
俺は自身の耳を疑い、確認した。
「あの、ラァム」
「なんですか?」
「パーティはこのままだけど、いいのか? それにまた明日って……」
ジトりとした視線をラァムから向けられる。
「……なんですか。レットはパーティ解消したかったんですか?」
「い、いや、そうじゃなくて!? 俺みたいな足手まといと一緒で、ラァムはそれでいいのかなって……」
「そんな心配をされなくても、嫌なら勝手にパーティは解消します。それに足手まといの一人くらい、どうということはありません」
「足手まといって認識はしてるんだな……」
「それにレットの料理は最高ですからね」
「なるほど、そういうことか……」
「いずれはドラゴンを一撃で倒すその力で、私のことも守ってくれるのでしょう?」
「うっ……性格悪いぞ!?」
ラァムが薄く笑みを口元に浮かべてから、告げた。
「ではまた明日」
「ああ! また明日!」
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