拳士中学校編⑬~第2中学校VS戦車戦~
(戦車と戦えるなんて夢のようだ!!)
予想外の相手が現れてくれて、一直線に戦車へ向けて走り始める。
俺が走り始めたら、主砲から俺の腕ほどある弾が轟音と共に発射されてきた。
「パリィ!!」
盾で校舎へ向けて弾の軌道を変えつつ、戦車へ近づく足を止めない。
田中先生が俺へ矢を放ち続けてくれたおかげで、俺は相手の攻撃を弾く方向を自由に変えることができるようになっていた。
俺が弾の軌道を変えたら、停止していた戦車が俺から離れるように急発進をする。
「逃げるなよ!! やりあおうぜ!!」
俺は戦車を追いかけるようにさらに速度を上げて走り始める。
戦車は俺から離れつつも、銃のようなものを俺へ連射してきていた。
そのようなものに当たることはなく、再び主砲から弾が発射されてくる。
「効かねえよ!!」
盾で誰もいない校舎へ向かって弾をそらし、校舎が音を立てて崩れる。
俺が近づくと、再び戦車が俺から逃げるようにグラウンドを走り始めた。
(埒が明かない!)
俺は戦車に近づくことができず、相手は逃げ回るだけだ。
見学に来てくれている人に当たらないように、正確に校舎へ向けて弾く時には立ち止まらなければできない。
そのため、俺が戦車に近づくことが難しくなっている。
戦車が止まると、身を隠すように戦車の後ろへ隠れているやつがいるのを発見した。
俺はあることを確認するために、戦車へ向かって走り始める。
効かないことが認められないのか、主砲からまた弾が発射されるので、立ち止まって盾で弾く。
「パリィ!!」
弾を当てている校舎が崩れており、後数回しか弾を当てることができそうにない。
戦車は俺から逃げるように離れ始める。
俺は戦車を追わずに、後ろにいた生徒を動けないように足を折り始めた。
「残念だったな!! あんなガラクタを出しても俺には勝てない!!」
戦車の後ろにいた生徒が戦いもせずに、泣きわめくような声を上げながら逃げようとしていた。
しかし、俺の計画のためにこの人たちには動かなくなってもらわなければならない。
戦車からはなんの攻撃もなく、俺が盾で戦っているのを見ているようだった。
俺は戦車が何もしてこないのを横目で確認して、このまま計画を実行することにする。
(後は適当に戦車を追いながら、他のやつを適当に動けなくするだけだ)
数分後、グラウンド中に生徒が倒れており、俺は完全に四肢を動けなくした教員を引きずってきた。
グラウンドの中央には戦車が倒れた生徒に囲まれて、動けなくなっている。
戦車からの砲撃は俺の周りに他の生徒がいた時には行われていなかった。
(そんなやつが操縦している戦車が、他の生徒を引き殺すなんてできるわけがない)
俺は戦車の道を塞ぐように教員を置いてから、歩いて戦車へ近づく。
戦車からはなんの攻撃もなく、移動もしないので作戦が成功した俺は笑顔が隠せなくなってきた。
持っていた盾で戦車の車体を思い切り叩くと、ガンっという音と共に硬い物を殴った感触が俺の腕に伝わる。
(硬いな。まあ、盾で殴り続けてみよう)
殴り続けていたら、戦車の上部にハッチのようなものが見えたので、戦車へ飛び乗る。
ハッチの周りを両手の盾で思い切り叩き始めた。
(本当は自分の拳で叩きたいけど、それだとばれそうだしな……)
不本意ながらも盾で戦車を殴り続け、数分ほどガンガンガンという金属が叩かれる鈍い音が鳴り続く。
(俺なら止まっている敵がいるなら攻撃をするけど、誰もなにもしてこない)
銃を撃とうとする気配を感じたら、そいつの骨を折りに行こうと思っていた。
俺を止める人がいないため、叩くのに飽きてきたのでハッチへ向かって声をかける。
「ここを素直に開けたら、お前は何もせずに助けてやろう」
数秒後、ハッチがゆっくりと少しだけ開き、中から声が聞こえてきた。
「本当に何もしてきませんか?」
「俺の言うことを聞けばあなたたちには何もしません」
俺は安心させるように穏やかな声を心がけて、中の人へ話しかけた。
ハッチが完全に開いたので、閉められないように足でハッチを踏みながら中を見る。
戦車の中には数人の生徒がおり、複数人で戦車を動かしているようだった。
俺は盾で校舎を示しながら、戦車の中の人たちへ指示を出す。
「残っているあれを全部破壊しろ」
「でも、あれは……」
「黙って言うことを聞けば何もしない! それともあんな風に全身の骨を折られたいのか!?」
戦車の中の人が指示通りに動かないので、防具を着けずに俺の前に立った勇気のある教員を見ながら声を張り上げた。
ハッチから頭を出して、倒れている教員を見たヘッドセットを着けている生徒は下を向いて、戦車の中にいる生徒を見る。
「主砲を校舎へ向けろ!」
「でも……」
「あいつみたいに手足を折られたいのか!!??」
「わかりました……」
戦車の中にいた生徒も渋々、主砲を校舎へ向けることを了承していた。
頭を出していた生徒が俺へ声をかけてくる。
「そこにいると危ないので降りた方がいいですよ」
「俺のことは気にしないで」
「……それなら音が大きいので注意をしてください」
ヘッドセットを着けた生徒も戦車の中に入って、主砲を校舎へ向け始めた。
その時、戦車へ近づいてくる気配を感じ、顔を向けたら第2中学校の校長が走ってきている。
「きみ!! これ以上やるのはやめてくれ!!」
「まだ、交流戦は続いていますよ。危ないので離れてください」
「きみと戦う生徒はいないだろう!?」
「あそこにたくさんいるじゃないですか。棄権は認められていませんよね?」
俺はグラウンドの隅に固まっている集団を見ながら、校長に聞こえるように声を出す。
戦車の中から準備が終わりましたと言われたので、「撃て」と返答した。
俺の声を聞いてから少し間が空き、主砲から校舎に向かって弾が発射される。
弾が着弾すると校舎が音を立てて崩れるが、まだ残っていた。
「まだ撃て」
「えっ!? ……装填をしろ!!」
中の生徒が声を出したら、戦車の中でなにかの作業が始まる。
(さっさと打てないなんて不便だな)
戦車の中を眺めながら次はまだかと待っている時、戦車の前に第2地区の校長が手を広げて立ちはだかった。
「もう撃つのはやめてくれ!」
校長が俺の邪魔をするので、排除するために動き始める。
戦車から飛び降り、校長の前に立って盾を突き付けた。
「邪魔をするというのなら、あなたは見学者から参加者になりますが……よろしいですか?」
「これはやりすぎだろう!? もうやめてくれ!!」
涙をまき散らしながら校長が俺へ懇願してきた。
しかし、俺は止めるつもりはないので、校長へブレイクアタックを行なって横へ吹き飛ばす。
校長が地面を滑るように転がり、倒れたまま俺を見てきた。
「それ以上来たらあなたもあの人と同じことをします。俺に喧嘩を売ったのだから、派手にやらないと面白くないじゃないですか!!」
校長は衝撃波で吹き飛ばされただけで恐怖したのか、そのまま顔を伏せた。
邪魔者がいなくなったので、戦車へ戻ると準備ができたと言われる。
「あれが無くなるまで撃ち続けろ!!」
「……わかりました」
その後、戦車から数発の弾が撃たれて、校舎はがれきの山になった。
約束通り、戦車の中の人には何もせずに、俺はグラウンドの隅に固まっている生徒へ向けて歩き出す。
俺が生徒の塊に近づくと、中から数人がこちらへ駆け出してきている。
迎撃をする準備をしていたら、全員が俺の前で土下座をしてきた。
「お願いします!! もう終わりにしてください!!」
その数人をきっかけに、塊にいた全員が俺の前で土下座をする。
俺はそれを見て怒りを抑えられない。
「お前らは銃で俺を撃とうとしたんだぞ! 殺す覚悟で向けたんだろう!? なんで最後まで戦おうとしないんだ!!」
目の前の全員が下を向いたまま何も反論をしてこない。
血が逆流するような激しい感情が込み上げてきて、ここにいる全員を再起不能にしてやろうかと考えてしまう。
俺が実行しようとした瞬間、俺の腕がつかまれた。
「一也くん! もういいでしょう!?」
後ろには俺の腕をつかんだ花蓮さんがいた。
無言で花蓮さんの手を振り払い、俺へ土下座をしていた人たちがこちらを見ている。
その目を見たら叩きのめす気が失せたので、最後に全員へ聞こえるように声を出す。
「モンスターは俺みたいに止まらず、お前たちを殺しに来るからな!! 冒険者になるなら覚悟をしろよ!!」
まだ怒りが収まらないので、花蓮さんや田中先生に話しかけられても、何も話をしたくないため無視をして学校を出るように歩き始める。
学校を出ようとしたら、俺が見学へ誘った夏美さんが来てくれていたので一言だけ伝えた。
「夏美さん、これが俺の銃に対する答えです」
「…………」
夏美さんは呆然と立っており、俺の言ったことを理解してくれているのかわからない。
今は彼女にこれ以上かまっていられないので、さっさとここを出ることにする。
校門のところまで向かう途中、誰も俺を止めようとしない。
学校を出る時に札を渡してスマホを受け取り、近くの公園にあるトイレへ入る。
俺はワープホールを行い、怒りをぶつけるように海底洞窟のモンスターの殲滅を始めた。
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