剣士中学生編⑦〜伊豆高原死闘開始〜
最後のマンドラゴラを処理している最中にウォーウルフへ襲いかかられた。
ウォーウルフに俺の左腕に噛みつかれてしまう。
しかし、仲間を呼ばれては厄介なので、先に最後のマンドラゴラを右手の剣で切りつけて倒す。
これで最初のマンドラゴラに呼ばれた仲間をすべて倒すことができた。
マンドラゴラから目を離して激痛が走る左腕を見ると、ウォーウルフは首を左右に振るい、俺の腕を噛み千切ろうとしている。
俺は腕にヒールをかけ続けながら、剣をウォーウルフの横っ腹に突き立てた。
剣が刺さるとウォーウルフがひるみ、噛みつく力が弱くなる。
俺はウォーウルフを振りほどき、両手で剣を持ってウォーウルフの胴体へバッシュを叩き込む。
地面に打ち付けられたウォーウルフの腹から血が流れ続けている。
俺が左手にヒールをかけていると、周囲にモンスターがいないのを確認したのか、両親がそばまで来ていた。
母親は俺の左手から血が出ているのをみて、ヒールをかけてくれる。
「お母さん、俺もヒールをかけたから大丈夫だよ」
「でも、あんた……でも」
母親はでもと言い、泣きながら俺にヒールをかけ続けている。
父親が複雑そうな顔で俺を見ていた。
母親にもういいとシャツで腕についていた血を拭いて、完治している左手を見せる。
剣についている血を振り落としながら周囲を見渡して、マンドラゴラ8体とウォーウルフ2体が確認できた。
俺は両親に向かって両手を広げながら聞く。
「どうするのこれ、持って帰る?」
両親も倒れているモンスターを見渡しながら考えているのか、なかなか答えが返ってこない。
ここにいても危ないだけだと思い、両親へとりあえずと言いながら提案をする。
「ここにいるとまたなにかくるから、全部車まで運ぼう。その後に考えない?」
両親はその言葉にはっとして、急いでモンスターを運び始めた。
俺は運ぶのを手伝わず、周囲の警戒をしている。
両親がマンドラゴラを運び終わった後にウォーウルフの解体をしている時、森の方からガサっと音が聞こえた。
音がした方を見ると、大きな塊が森からゆっくりと出てきている。
姿を確認した父親は、恐怖で声を震わせながら静かに呟いた。
「グリズリー……なんで森から降りてきているんだ……」
グリズリーと呼ばれた動物型モンスターは、4つの手足で歩きながら森から出てきた。
俺も姿を確認して、姿がヒグマに似ており毛が赤茶色に見えた。
大きさは歩いている姿だけでも、2m以上の大きさがある。
父親は解体を止めて、置いてあった銃を拾いながら俺と母親に向けて小さい声で話す。
「お父さんが囮になるから、その間に2人は逃げなさい」
「あなた、そんなこと……」
「いいからそうするんだ。成体のグリズリーはEランクモンスターだから、逃げることを考えなさい」
「嫌よ私も……」
母親は言葉を続けようとしても、父親の決心した顔をみると言うのを止める。
父親から一也と呼ばれたため、父親の方をみた。
「お母さんを頼むな」
父親はそう言うと、注意を引くため天に向けて銃を発砲した。
パァン!と弾けるような音がして、グリズリーがこちらへ向かって走り出す。
それを父親が確認し、俺たちとは離れるように走り始める。
しかし、グリズリーは父親の方へは行かず、こちらへ来ていた。
グリズリーはウォーウルフの血の匂いに誘われて森をおりてきたのか、父親に一切興味を示さずにこちらへきている。
母親は逃げようとしているものの、向かってくるグリズリーの迫力で腰が抜けて立ち上がれない。
(やるしかない!)
俺は父親が走っていった方向とは違う方向へ走り始める。
父親の方を見ると、さらに注意を引くために銃をグリズリーに向けている。
距離が取れた俺は、父親が銃を撃つ前にグリズリーに向かって腹の底からできるだけ大きな声を放つ。
「クマ! 俺が相手になってやる!」
俺が言い放つとグリズリーは進行方向を変えて俺に向かってくる。
挑発のスキルが使えるようになっていたため、グリズリーの攻撃対象を変えることができたようだ。
俺はグリズリーが来てくれて安心しても、父親に銃を撃たれると困るので注意をしなければならない。
「お父さんは銃を撃たないで、お母さんをよろしく!」
俺が叫んでから数秒後、父親は銃を下ろして母親のところに戻ろうとしてくれていた。
それを確認してから正面を向き、唸りながら向かってくるグリズリーを見る。
(これで安心して戦える)
目前に迫るグリズリーは俺の顔より大きな手を振り上げて俺へ振り下ろす。
俺は思いっきり左に飛んで躱そうとしても、躱しきれずに爪の先が胸にかすり服が裂けた。
俺は距離を取りながら剣を握りなおすと、グリズリーが立ち上がる。
立ち上がったグリズリーは全長4mを超えているように見えた。
(攻撃を1度でもまともに受ければ俺は死ぬことになるな……)
その緊張感で思わずに笑みがこぼれてしまう。
俺は先ほどと同じようにバフ魔法を自分にかけて、グリズリーへ向かっていった。
グリズリーも俺を迎え撃つべく、唸り声をあげながら両手を振り下ろしてきた。
「グオオオ!!」
俺は躱しながらグリズリーの胴体にバッシュを叩き込んでも、効いている気がしない。
グリズリーの攻撃が地面に当たると、土をまき散らしながら地面をえぐっていた。
俺は長期戦を覚悟して、グリズリーへ向かい続ける。
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