プロローグ③〜混乱、検索、そして〜
渋滞で車が全く進まず、VRとゲームを購入して帰宅した頃には夜になってしまう。
渋滞で待っている間に、父親から様々なことを聞くことができた。
リビングでは、夕食をすませた父親が鼻歌交じりにVRをセッティングしている。
父親からゲームの準備ができたら呼ぶと言われたため、俺は部屋に戻ってきた。
ベッドに横たわり情報の整理を始める。
父親との会話の中でいくつか確認できたことを思い出す。
○
ここは間違いなく18年前の実家。
父親は現在公務員だが、昔は冒険者学校に在学していた。
DWCでは現在世界中で確認できている11のダンジョンの一部が体験できる。
猪のモンスターが街中に現れたせいで、道路が渋滞していた。
○
学校案内で強調していた学校では、俺が聞いたことがない特殊な受験が行われている。
詳しく聞くと、父親が冒険者学校を受験した時には、模擬ダンジョンの探索や筆記試験が行われたそうだ。
また、帰宅中に聞いた車のラジオからは、猪のモンスターが群れで住宅地に現れたため、街のあちらこちらで事故が起こっていると流れていた。
(ダンジョンがあり、モンスターもいる)
まるでゲームのようだと思い、自然と胸が高鳴ってきた。
情報を整理していると、ベッドの端にスマホが置いてあるのに気が付く。
「そうか! 調べればいいのか!!」
思わず声が出てしまったが、スマホがかろうじて見えるくらいベッドの隅に追いやられていた。
(スマホで調べれば俺が今置かれている状況がはっきりとわかるかもしれない!)
急いでスマホを手に取り、検索ワードを入力しようとする。
【 】
(なんて入力すればいいだろう)
調べたいことが多すぎて手が止まってしまう。
ベッドから身を起こして、俺に必要な情報はなにか考えてみる。
机の上に置いてある入学案内が目についたので、一番初めに思ったことを入力してみることにした。
【静岡 剣士 中学校】
検索してからすぐに表示されたページには、剣士中学校の概要について書かれていた。
剣士学校は静岡県の各地区に1校あり、騎士学校だけではなく魔法学校などにも進学したい場合には、この学校で学ぶことが望まれるようだ。
俺の住んでいる静岡県には、東部、中部、西部の順に1から3の剣士中学校がある。
剣士学校の歴史についても記載があったが、長すぎて読むのを止めた。
次に、剣士中学校の教育内容についてのページをタップすると、強烈な一文が記載されている。
【剣士中学校はコース別に3年間で1つのスキルの習得を目指している】
俺はこの一文を何度も読み返してしまった。
(3年勉強して1つのスキルしか習得できない!?)
スキルが3年間で1つしか習得できない環境で、どのようにモンスターと戦っているのか興味が出る。
覚えられるスキルが非常に有力なものなのかもしれないと考えて、スマホの操作を急いだ。
スキルに興味が出て、このページをくまなく読み始めた。
しかし、教育内容のページにはスキルの名前など詳細がなかったため、もう一度詳しく検索をしてみることにした。
【剣士中学校 スキル 詳細】
俺の思い通り、剣士中学校で習得できるスキルの詳細が記載してあるページを見つけた。
そのページを読み進めていくにつれて、俺は自分が置かれている状況に希望が見えなくなってくる。
スキルの詳細がわかったが、俺は剣士中学校に通いたくなくなってきた。
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