闇の世界
まるみ
第1話 スポットライト タナカヤスオの人生
私の名前はタナカヤスオ
職業はサラリーマンである。
平凡な家庭に生まれ育ち、結婚してからも平凡な人生を歩んでいる。
今現在、会社での立場といえば、上司と部下に挟まれている状態である。
仕事に追われ、上から下からと色々と言われ、ストレスが増す一方だが、これといった趣味もなく、趣味があった所でそんな時間は取れないだろう。
家に帰れば妻と娘から邪魔者扱い、何かあれば直ぐに二人からの「お父さんが」の一言から始まり、悪い事はすべて私がいけないようだ。
私の心情としては、今、崖っぷちに立たされている気がするが、首に緩く縄もかかっている気もする。
崖にはあと一歩という所で落ちてしまいそうだし、落ちたら落ちたで、緩く首にかかっている気のする縄が、私の首をきつく締めるだろう。
こんなに崖っぷちに立たされている気のする私でも、父と母の事を思い出す。
父が買ってくれた高価な時計は、就職祝いでもらった物だ。
大事に使っていた物で、電池交換をしながら使っていたが、いつのまにか壊れてしまった。
母が作ってくれた、何気ない食事も頻繁に思い出す。
大した腕前ではないが、卵焼きがとくに好きだった。
もう、あの卵焼きは食べる事が出来ない。
あぁ、私の人生はどこで間違ったのだろう、ただの平凡な人生だったはずなのだが、知らない間に「くたびれたサラリーマン」になっていた。
なぜこんなにも、息がしづらくて足元が見えないのだろう?
なぜこんなにも、死が近く感じるんだろう?
私は本当に、今を生きているのだろうか?
私の人生には、スポットライトのような明かりがつく時は来るのだろうか?
光の世界へ、誰か導いてはくれないだろうか?
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