とある王国での話

柊ツカサ

第1話

ある王国にイタズラ好きな男の子がいました

男の子には特別仲のいい4人の友達がいました

男の子はその友達を親友と呼び、毎日一緒にイタズラをしていました

すると、それに目をつけた大臣がイタズラの罰にと、男の子を奴隷の様に扱いました

日に日に扱いは酷くなり、見世物にされ、歳下の村人から指を刺され笑われるようになりました

男の子は大丈夫、まだ大丈夫といい聞かせ毎日働きました

半年が過ぎようとしたある日、ついに男の子は倒れました

体が言うことを聞かず、悲しくもないのに涙が流れ止まらなくなったのです

大臣はそれを一瞥すると、次の標的を決めました

男の子は、休暇を貰い療養することになりました

療養期間を経て戻ってくると、大臣は言いました

あの家を綺麗に片付けろ、次の村人が住めるようにな

男の子は言われるがまま片付けました

片付けが済めば、好きにしていいと言われたこともあり、ずっと会えなかった親友達と何をするか妄想しながら、急いで片付けました

片付けが終わり、男の子は親友に会いに行きました

しかし、親友は男の子を見るなり目を背け、どこかへ行ってしまいました

2人目の親友も同じでした

2人の親友に素っ気ない態度を取られた男の子は、3人目には逃げられないように、近づいてから声をかけました

3人目の親友は周りをキョロキョロと見渡し、下を向いてしまいました

小さく震える親友に、男の子はそっと手を伸ばすと近くにいた兵士に遮られてしまいました

男の子はわけも分からず、最後の親友を探します

しかし、集会所にも、思い出の場所も、どこにも姿はありませんでした

次の日も、そのまた次の日も

どこにも最後の親友だけ見当たりません

男の子は、情報をかき集めました

そして、男の子は、知りました

男の子が倒れたあと、見せしめにと国外追放された子のことを

おとこのこは知りました

自分が掃除した家がその子の家だと

オトコのコは理解しました

その家が自分を絶望から救ってくれた最後の親友の家だと

自分を罵倒し、否定し、自分自身への信頼を失った男の子は、自分を嗤いました

かつて最後の親友がしてくれたように、自分も誰かを助けると

友達のためなら、親友のためならなんでもできると、何でもすると信じていた自分を

かつての自分を嘲笑い

勝手に辛いと感じる自分に嫌気がさしました

男の子はそれが心があるからだと決めつけ、自分自信にナイフを突き刺し、心を抉り取りました

男の子はそれを、道端に捨てると今度は、鏡を見ながら口の端を切り裂きました

いつでも笑顔でいられるようにと

男の子は満足しました

流れる水が真っ赤に染まりながらゴミを踏みつけ、笑顔で王国へと、歩き始めました


それからというもの、男の子は夢の中で何度も何度も殺されるそうです

口の先が裂ける前の自分によって

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とある王国での話 柊ツカサ @Tujasa-Hiiragi

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