第5話 クエストへ(1/2 )
「まずは、お金を稼ぎましょう。」
そんな唐突なシルビィの発言から、俺たちはモンスターの討伐に向かっている。
「拙者とともに依頼をこなすなど君たちは幸運でごさるぞー!はっはっは。」
そして隣を歩いているこの拙者野郎は信衛門。今回のクエストに同伴するやつだ。職業は剣士(本人は侍だと豪語している)。ここまでの道のり、こいつの自慢話を延々と聞かされているが、どれも薄っぺらい現実味のない話ばかりで信用ならない。
「信衛門さん、凄いですねぇー。そんな実力ある方とご一緒できるなんて感激です。」
純粋なシルビィさんは、すっかり信じきっているけど…。
今回の討伐対象はワイバーン、いわゆる飛竜だ。そこまで攻撃性も無いため、初心者が挑む難易度のクエストだ。飛べる相手に剣士二人で挑むのもどうかと思うが、簡単なクエストだし大丈夫だろう。でも、気になるのは初心者のクエストにしては報酬が高めに設定されていたことだ。シルビィは、いつもの天然さで気にも止めていなかったが、気になる…。
そうこうしているうちにワイバーンの所に着いたのだが、俺たちは討伐対象を見るなりギョッとしてしまう。
「こっ、これは。ひぃ、ふぅ、みぃ……ざっと見ても100匹は、いるでござるよ…」
確かに討伐対象にワイバーンと書かれていたが、数までは書かれていなかった。初期クエストにしては、やけに報酬が高かったのはこういうわけか。ワイバーンといえども、これだけ集まればやっかいだ。
「どっ、どうするのんじゃ?ワイバーンと聞いておったが、数が多すぎんではないか?」
信衛門は、動揺からか言葉使いがおかしくなっている。
「そんな事言ったって、これは出直して応援を頼むしか…」
「はぁー!?そんなこと出来るわけなかろう!この信衛門がワイバーンごときに遅れをとったとなれば恥ずかしくて外も歩けん!」
このオヤジ!自分の建前しか見てない。道中から思ってたけど、俺の嫌いな大人の一人だなこいつは。
「アーロイったら、大丈夫だよー。信衛門さんが一緒なんだよ。ドラゴンなんて星の数ほど倒してるんだから!このくらいの数のワイバーンなんてどうってことないよ。」
「えっ、シルビィまだそんなこと言ってるの?」
どーしてこんな動揺しきったおっさん見て道中の自慢話を信じれるんだー?!シルビィさん人をみる目が無さすぎるよ。
「?よく分からないけど、まぁサクッとやっちゃいましょう。信衛門さん!先に行きますね。」
「ちょっと、待って!シルビィ!!」
俺の制止も虚しく、シルビィはワイバーンの巣へ駆け出してしまった。
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