第43話 虚



 階段を上へと駆けるロルカの後を追うようにしてエリオットが階段を登り始める。


ロルカの背後を援護するつもりである。


ロルカの背後でエリオットのクノーが放たれる。


二人とも念動力を使わない

破岩術は最後の最後まで使わない。


王の間にいるポー

狙いはそれだけに一点集中している。


二階の間

此処には数々の部屋がある。


いつ、どの扉から妖魔が飛び出してくるか分からない

それどころか奴等は壁や床からも出現してくる。


ロルカは警戒しながらも廊下を疾走する。


狙いは三階

王の間にいるポー

それのみ。


後ろではエリオットが苦戦しているのが分かる。


無理もない

ロルカが倒した妖魔を除いて

残り八十体

他に新手でも現れたらエリオット一人で防戦することは不可能だ。


堪らずエリオットは念動力

瞬間移動を使う。


妖魔達も

それに合わせて瞬間移動する。


念動力はできる限り最小限に留めたい。


ロルカの背中

皮一枚で現れたエリオットの手から三本のクノーが放たれる。


クノーが空中で止まったかと思うと

クノーの止まった場所で三体のシユウの姿が現れる

どの妖魔にも首に一本のクノーが刺さっている

その間にロルカは階段を駆け登る。


「残り、七七」


エリオットが叫ぶように言ったその時


「カゾエウタ モウ オワリ ダ」


「しまった」


虚を突かれたエリオットが掠れたような声で小さく叫ぶ。

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