第24話 風、再び。



 再び旅の準備が整った。


朝早く、赤い太陽が、牧場の前の荒野を照らし始めている

赤い光を受けて白い鹿が二頭並んでいる。


幼いマヤコフの父コクトーと母のベルレーヌが牧場小屋の前で立っている

既に旅立ちを悟ったコクトーとベルレーヌは誰に言われるまでもなく静かに立っている。


ロルカが小屋の扉を開けて外へ出ると、


「エリオット、ベルレーヌを使え」


とパステルナークが言う。


「然し、ベルレーヌは・・・。」


「構わぬ、女同士で行けば良い」


いつの間にやって来たのか、ベルレーヌの横に寄り添うように立っている幼いマヤコフが頷いたように見える。


「そうか、マヤコフ。お前もそう思うか」


そう言うとエリオットは、分厚い布を敷いたベルレーヌの背に乗った。


同じようにロルカもコクトーの背に乗ると、


「アラゴン、世話になった」


とパステルナークが言う。


「とんでもございません」


そう言ってアラゴンは小屋を振り返り、


「ホイットの寝坊助め、とうとう起きて来なかったな」


「構わぬ、気遣い無用だ。ロルカ、行こう」


とパステルナークが言うとロルカは頷き、


「では、頼んだぞ」


とコクトーにロルカが念通力で話しかけると、コクトーは踵を返してゆっくりと牧場の門へと向かう。

後ろからはベルレーヌがついて来る。


そして、その横に母に寄り添うようにしてマヤコフが付いて来る。


エリオットの瞳が優しくマヤコフを見つめている。


マヤコフは両親に会えるのがこれで最後になる事を知っているかのように

ピタリと寄り添いながら歩いて付いて来る。

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