第6話 予感



ロルカが朝起きると未だ陽が昇るには早かったようだ。


帯刀を解いて隣に置いてある剣を見て声を掛ける。


「パステルナーク、眠れたか」


「私は眠らない」


ロルカは軽く頷くと

身なりを整え帯刀する。


「行くか」


「急ごう」


ロルカは保存の効く乾燥した食料と水筒の入った袋を持つと水車小屋を出た。


暫く歩くと陽が昇り始めた頃にパステルナークが語り掛ける


「来るぞ、気をつけろ。最初に来るのは老人だ。挨拶をしてくる筈だ。お前は何気無く挨拶をしろ。次に来るのは若い女だ。女が挨拶をして来ると、それには構わずに抜刀して振り向きざまに後ろを斬れ。斬ったら真っ直ぐに走れ。そしてすぐに立ち止まり、追いかけて来る女を斬れ」


ロルカは承知したという証拠に剣の柄に手を掛けたが、


「むやみに柄に触れるな」


とパステルナークが言った。

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