第2話 砂漠の遺跡 地上

ミライさんはミイラ取りだ。


地上のありとあらゆる場所に出向きミイラを収集している。

僕はその助手として一緒に活動をさせてもらっている。


初めの頃はミライさんと呼んでいたのだが、


ある日突然


「先生と呼ばれたい!」


と思い出したかのように言われ、それ以来先生と呼んでいる。


「先生、次はどこに調査をしに行くのか決まりましたか?」


前回の調査は遠出でだいぶ疲れたため、今回は近くでの調査がいい。

次の調査は近場以外は同行しないと伝えておいたので近場での調査になるだろう。


「そうだね。今回はここなんかどうかな?チカ場だよ」


 そう言いながらタンスから小さな石を取り出した。


その石は灰色に少し青が混じったような色で、外から衝撃を加えられて割れたのか、いびつな形をしている。


表面はザラザラできれいとは言えないのだが、人の手で整えられたような丸みを帯びている。


よく見ると、その石の表面には何やら文字が書いてある。

知らない文字だ。いくつかの文献などを調べてみたが同じような文字は載っていない。


「なんて書いてあるんですか?」


「太陽が咲き、夜が落ちたところ」


さすが先生!


文献にも載っていないような言葉も一瞬で訳せてしまうらしい。

意味はさっぱり分からないが何かしらの暗号なのだろう。


「さすがは先生ですね!」


そういうと先生は少し照れくさそうにしながら窓の外を見た。


「さて、そろそろ行こうか。準備はできたかい?」


「はい!」


今回の調査は近場らしいので大して準備もいらないだろう。

新しい調査に浮足立っているのを感じていた。


「それじゃあ、サクッと行ってこようか」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

丸5日かかった。


近くの遺跡だと思い簡単に返事をしてしまったが、移動だけでこんなにも時間がかかるとは。


しかもものすごく暑い。

視界に入るものは砂と砂と砂と砂と太陽と遺跡と先生。

太陽はこちらを暑さで締め落としにきている。


「ようやくついたね」

「さあ、調査開始だ」


「ちょっと待て。」

ついウッカリと口から言葉が溢れてしまった。


何が近場だ。


まさかとは思うが、このイカレ野郎は地下の場所のことをチカ場といったのか。

この人とは文字で会話をした方が良いのかもしれない。僕の身が危険だ。


今回は探索用の常備セットに砂漠用の衣類が入っていたから良かったものの、もし入っていなかったら途中で倒れていたぞ。


今回はさすがに文句を言わないと気が済まない。


「せんせっ…」


ドン!! 


重い何かがぶつかったような、高いところから落ちたような大きな音が地面から響いてきた。


バキッ!


今度は何か分厚いものが割れるような音がした。


「先生!今のは⁉」


「ああ、扉を開いたんだよ。そしたら、何かが作動したんだ。


何が作動したのかは分からないんだけどね。」


先生は笑いながら言っていた。


草も生えない。

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