黒桔梗

夕凪夕

はじめに

プロローグ

 兎にも角にも私には、愛だとか恋だとかの浮ついた言葉は煩わしいのだ。恋と愛と書いてレンアイと読むのだから、仕方なくその肩書きを背負っているだけだ。女が「愛している」と言えば私は耳元で愛しているよと囁くが、それはその場で一番喜ぶだろう解答をしているに過ぎない。好きな者同士で癒えるのなら、肩書きや形なんて、どうだって良いじゃないか。

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