第14話 A
「それでは、はじめッ!!」
ちょっと神様といいFといい、説明が少なすぎやしませんか!とりあえず全力で守るしかない!
Aは両手持ちの棒を真上に掲げて何か小声で呟いている。
俺はAの動きに対応しようと両手で棒を中段に構えた。高校の授業で習った剣道、役に立つのか?
「―――――
Aが何か叫ぶとAの身体が白い光に包まれる。
なんだ?まさか、補助魔法?
「覚悟!!!」
Aの動きは異常としか言えなかった。
10歩程の間合いがたった3歩で詰められ、上段から袈裟斬りの気配。
「イィヤァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!」
ちょ、まさか
初太刀に全てをかける剣術がこの世界にもあるのか!?
Aの素早い太刀筋はまるで見えない。
ガンッ!!!!!
間一髪、棒を構えた途端両腕に激震が走り勢い良く棒が叩き落とされた。
「コイツッ!!」
苛立つAの声。鋭い眼光には殺気が宿っている。
Aは振り下ろした棒をそのままに頭から突進してきた。体当たりされるのかと思い俺は腕を前で構えて衝突に備えた。
!?
Aの身体が目前で急停止し、斜めにヒネられた。
下段から大きな弧を描いて棒が迫る。
防げ――――
◇
ペチペチペチペチ
ペチペチペチペチ
ペチペチペチペチ
「ん、んん」
「神官長、目覚めました」
「思ったより早かったですね」
「私の
「なかなかの腫れ具合ですがそこの治療は?」
「頬は問題ありません」
「すびばぜん、俺の身体どう?」
痛む頬、無表情のA、にこやかなF、青い空。
「BBさん、Aの一撃を防ぐとはやりますね」
「実戦なら即死でずがら」
「当たり前だ、私の剛剣がお前如きに止められるわけがない」
「A、やはりBBさんの頬の完治を頼みます、会話しにくいので」
「軟弱者め、感謝しろ」
「ばい」
Aは両手で俺の両頬を挟む、顔が向き合っているので自然と目があう。鋭い眼付は相変わらずで、俺も真剣に見つめ直す。ドキドキしない、何故だ?
「――主よ、生きとし生けるものを救うために神の奇跡を授けたまえ、傷付いたこの者に慈悲を与え一時の休息を与えん、
頬の痛みが急にひいてきた。やはり詠唱をしてから魔法は発動するようだ。しかし、なんて便利な力だ、是非とも覚えたい。
「どうだ、治してやったぞ」
「ありがとうございます!」
聖職者としてその態度はどうなんだと思わないでもないが、この世界の聖職者がそもそもこういうものの可能性もある。
「本当に私より歳上の癖に頼り無い、まぁ私がそれだけ優れているから仕方がない事だが」
「恐れ入ります!」
「BBさん、テストの結果としては問題ありません。腕と脇腹の痛みは残っていませんか?」
「たぶん大丈夫です!」
「神官長、私の治癒は完璧です」
「そうですね。BBさんもAの実力がこれで痛い程分かったと思いますから、親子ほどの歳の差になるとは思いますがAを師として奉公人を務めて下さい」
「わかりました!ありがとうございます!」
「それではA、後の案内を頼みましたよ」
「任せて下さい」
Fは俺達を残して教会の中へと戻っていった。
「私の事は
「はい!
「ふふ、ついに私にも奉公人が…
良し、まずは宿舎を案内する!付いて来い!」
「はい!
あれ、なんか、軍隊っぽくないか…?
奉公人?んん?
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