アローヘッド

ハヤシケイスケ

橋の下

川の向こう側の町は、治安が悪かった。


町と町を繋ぐ橋。

その橋脚は、スプレーで描かれた落書きで埋め尽くされている。


大きな動物のようなもの。


顔のようなもの。


爆弾のようなもの。



その橋の下はこの町の不良たちの集会所だった。



橋の上を小柄な少年が歩く。


この町の義務教育学校の制服を着た少年は、ブレザーに2つ付いたボタンの片方を閉め、ネクタイをきつく巻いている。


橋の下を一瞥した少年は、そのまま歩き去っていった。

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