ピピンの陳情
それから僕たちは、1、2時間ほど6階を徘徊し、そろそろという所でピピンの安全な魔法陣で1階に戻った。
どうしたんだろう、ピピンの顔が青ざめている。
「すぐ宿屋に行かせて下さい…」
そう言ってピピンはよろめきながら歩いてゆく。他のメンバーは理由が分からず両手を持ち上げる動きで訴えた。
僕らは装備品を売り、外でご飯を食べてから宿屋に戻っていった。
宿の1階に到着すると、盗賊キースが、
「俺と侍はここで酒飲んでるからよ、チビとアリンはピピンの様子見てこいや」
早速届いたビールを口にする盗賊キース。
「ほっといて行きましょエット君」
「う、うん」
僕らはピピンの部屋をノックした。
「…どうぞ」
僕らが入ると、ドアはガチャリといって閉まる。
「どうしたのピピン。後半やばかったわよ」
「ピピンは自分の言いたい事を心にしまっちゃうんだから困るよ。どうしたの?」
ピピンは何とか口を開いた。
「疲れが限界なんです…しばらく2、3日ベッドで静養させてくれませんか」
「私はかまわないけど…」
「みんな毎日ダンジョンで気が滅入ってるでしょう。街へと繰り出してみたら…」
「マッパーを独自に募集してもいいのよ?」
「本当ですか。正直ありがたい話です。6人構成は基本ですからね」
「…状況はわかったわ。じゃあご飯もってくるから静養してなさいよね」
ドアを開け、ピピンから離れていった。
1階の飲んだくれ共に事情を説明すると、
「マッパー雇用は別にいいけどよ、その分取り分けが薄くなるんだが、いいのか?」
「私はお金だけの為にやってるんじゃないのよ…だから」
「ああいい分かった、ギルドへ行って探してこい。おいビールのおかわりまだか?」
半ば呆れながらも僕とアリンは夜のギルドへ足を進めた。
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