有頂天 ※サイモン視点

今日はイレーネと正式なデートだ。イレーネとは小さい頃から一緒だったが、最近大人っぽくなって、俺から見ても美人になったと思う。


こんな美人をデートに誘えるなんて、幼馴染の特権だな。


「イレーネ、今日のディナーは外で食べないかい?君を連れていきたいレストランがあるんだ」


「まあ素敵!連れて行って!……でも、シランさんは良いの?彼女と最近会っていないんじゃない?」


シラン、と聞いて先日泣きながら帰っていった彼女を思い出す。普段大人しいから、あんなに取り乱すとは思わなかったが……まあ良い機会だったな。


あんな太った女が婚約者だなんて、俺の評判に関わるからな。自己管理の出来ないやつが俺の妻になるなんて耐えられない。


付き合い始めた頃は結構美人だったんだがな。いや、最近綺麗になったイレーネには劣るな。


「ああ、彼女とは婚約を破棄したんだ。前から合わないと思っていて……だからもう俺は自由なんだ。これでいつでもイレーネとデート出来る」


「そうだったの。ようやく別れたのね……じゃあ私と結婚する?……なんて、うふふ」


イタズラを思いついたように笑うイレーネは妖艶で、思わず顔が熱くなる。


「勿論、そのつもりさ!イレーネは国一番の美女だしな」


「あら、褒めたって何も出ないわよ?」


ああ、今日は最高の日だな!





イレーネとレストランで食事をしていると、コースの半分くらいでイレーネの手が止まった。


「もう良いのかい?これなんか半分も食べてないじゃないか。このソースが美味しいのに」


「もうお腹いっぱいよ。ねえ、それより明日はリンド宝石店に連れて行ってよ。婚約するなら指輪が必要でしょう?私、欲しい指輪があるの!」


もう食べないのか。この店を予約するのは大変だったんだがな……。


「あ、あぁ……そうだな、指輪を買わなきゃな」


指輪か、シランには買っていなかったな。特に催促もされなかったし……。


「それから新しいドレスとネックレスも欲しいわ!あなたとパーティーに行くなら、素敵なドレスを着なくちゃならないでしょう?」


シランはいつも無欲だったから、俺の好きなところに連れ回していたが……女ってこんなにも物を欲しがるのか。 


まあしかし、我儘を言うイレーネも可愛いから良いか。


これからパーティーに出席する時はイレーネを連れていけるのか。皆の注目を浴びるんだろうなあ。ははっ、楽しみだ。





そういえば、来月には王家主催のパーティーがあったな。近隣国の要人も招かれる大規模なパーティーだ。


イレーネと共に出席すれば、彼女の魅力で俺の評価上がるかもしれない……!



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