サウナとラーメンについて(テスト)

@rakkochan27

第1話

宇宙において重力が及ぼす影響は大きい。最近の研究ではありとあらゆる事象の裏に重力があるともされている。これを理解した時人類は次のステージへ進むことになるかも知れない。


さてこれは私主観の話ではあるが、実は人を惹きつけるという意味では東京にも幾つかの力場がある。

富○丸、武○家、皇○家…そう、深夜にコッテリラーメンを食べるのを私は毎週末の楽しみとしているのだ。


平日は仕事や疲労でがんじがらめになり、それらから逆らうことが出来るが、金曜日の午後6時を過ぎた頃にふと体が軽くなる瞬間がある。その時私は週末という精神・肉体のカタルシスが目前まで迫っていることに気づく。晴れた夜空には雲一つなく、名も知らぬ星々が私を祝福しているようだった。足取り軽くバイクに乗り込み、さながら銀河のような金曜夜の都内へ私は出かけるのである。


先日蔓延防止法が解除された。マンボウとかいう可愛らしい表現をメディアは好んで使っていたが、その実態は金曜深夜を愛する者としては、憎き敵そのものだった。私は何処かのヒーローような格好で、巨大なマンボウをやっつける妄想をする。Spotifyを操作して幼少期に好きだったテーマソングを流す、花金の導入としては最高である。道路は空いていて、車のテールランプが煌びやかだ。歩道をカップルが手を繋いで歩いている、平時はリア充に対して謎に敵対心を持つ私だが今夜は違う。意味は違えど今は私もリア充なのだ。


池袋で友人と待ち合わせる。彼もまた私と同じラーメンフリークだ。環七を走り2ヶ月ぶりに向かう。到着すると既に30人近く並んでいる、皆楽しみに来たのだろう。目が輝いているのが分かる。


近況報告をしていれば1時間などあっという間だ。ここは量のあるお店なので、よく熟考して食券を買う必要がある。深夜にハイカロリーラーメンを食べるということは、普段の食事とは全く違うことを考慮しなくてはならない。少し抑えめにすべきなのは分かっているが、ここで日和るのは男でないとチャーシューメンをプッシュ。やがて目の前に現れるのは赤子の拳サイズの豚が8つほど入った、巨大な山だった。


まずは上に乗っているヤサイから片付ける。ここはスープで野菜を茹でてあるので柔らかく、ほのかに脂の香りがして美味い。私はブタカスアブラというほぐし豚と脂を混ぜた罪のようなメニューに浸けて食べるのが好きだ。軽く一味唐辛子をかけると更に美味しい。

ステーキのような豚は魅力的であるが、早めに食べないと後がキツくなる。食券機には豚が4つと書いてあったが、アレは嘘である。それを証拠にヤサイの下から8つ出てきた。どれも丁寧にカットすれば1つで他店舗のチャーシューメン分はありそうだ。

「あれは包丁の使い方を間違えている」と友人。

そうだそうだ、と頷きながらとにかく咀嚼して飲み込む。しっかり味が染みていて美味しい。


ようやく麺とご対面である。豚とヤサイで押し潰されているにも関わらず、スープよりも標高が高いのは何故だろう。箸で持ち上げてみると見かけの量が2倍になった。

後は啜って咀嚼して飲み込むだけである。キツくなれば黒烏龍茶を一口飲み口の中をリセットする。卓上調味料も活用しながら、友人に遅れ何とか完食した。


外に出るとコンビニで買ったアイスを頬張っている友人がいた。今日は上ブレだったとか、豚の数が多かったとか2人で今日の1杯を振り返る。


時刻は午前2時、明日は何をしようか。すっかり人気の無くなった夜を楽しみながら帰路に着いた。

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