第39話 奴隷の行き先とメルネニアの町
翌日、まず奴隷達の行き先を決めないと動けないので、奴隷商の地下の奴隷達を次の奴隷商に引き渡すために見に行ったら、全員が失神していた。
ええ!?何があったの!?
起こして聞いてみたら、元が男の子だったので女の子の体が欲しくて慰め合っていたらこうなったんだとか?
なるほど?ま、いいか?女の子同士だから問題ない!大丈夫!
間違えてデブの奴隷商と町長の息子も一緒に美少女になっていたので、一緒に引き渡して来たけど問題ない!大丈夫!これで奴隷の女の子の気持ちがわかるでしょ?
それで、正式な奴隷商に引き渡し終えた私達は、町長の家に集まっていた十一人を選別することにした。
一人目は、私が生き返らせた銀髪青目のエルフの美少女。名前はシルフィーで歳は私と同じ10歳くらい。
シルフィーは、セルフィーさんによく似ているので、もしかしたら親戚かもしれない。なので、同族のセルフィーさんに任せる事にした。
となると、結局は私の所で面倒を見ることになる。多分……拷問を受けてると思うから、心のケアが大事だ。
そして二人目は、町長の居間で倒れていた裸の美少女。名前はセシリア・タンパニア10歳。金髪緑眼で髪型はツインテール。最近無くなったタンパニアという亡国の姫だったらしい。
町長に随分と酷い目にあっているようなので、私がケアしてあげる予定だ。
それから、町長の家の地下で見つけた奴隷達は、何年もの間奴隷として酷い目にあっていたようで、心も体もボロボロだった。
20歳の茶毛猫獣人で美人のスゥは、10年もの間……掴まっていたようで、とても見ていられないくらい疲弊していた。
18歳のファイネも同じく美少女の猫獣人で毛は銀色、もう8年目になると言っていた。
年齢からみると、町長の趣味は10歳らしい。私も10歳だから町長にとっては一番食べごろなのだろう。
16歳の美少女マルミィは髪は銀色に近い白毛で、珍しい狐人族なんだとか……彼女も6年目らしい。
14歳の小さな美少女チャコは、小人族で茶髪……彼女も4年目だとか。
そして、12歳のミルキー・スイカは茶髪茶目で、他国の貴族の娘だったらしく……こちらも2年目らしい。
まだセシリアが、早めに助けられてよかったと言えるのだろうか?
とにかくこの五人と二人については、心のケアが最優先となる。
なので全員が私の担当だ。
次に、奴隷商で保護した4人についてだ。
一人は、とても可愛い受付嬢をしていた20歳で赤い髪のイリアティーネで、他国の貴族だったらしい。
イリアは、そのまま私の使用人兼愛人としてエンパニアで働いてもらおうと思っている。
売れ残りなんて勿体ない。
次に、奴隷商で二階に裸でいた少女は、私と同じ10歳で名前はサーナ。金髪の美少女だった。サーナは可愛いので私が貰うとして、もし魔法が使えるなら一緒に王都にいってもいいと思っている。
あと、奴隷商の所で保護したランちゃんは6歳で、黄緑の髪をした可愛い妖精族だった。
もう一人奴隷商で保護したリンちゃんも6歳で、金髪の犬耳族の獣人でとても可愛かった。
この二人はエンパニアで保護して、イリアに任せようと思っている。
私は、流石に人数が多くなって身動きが取れなくなってきたので、「転移の扉」を使って、保護した子たちをエンパニアにいったん預けてくることにした。
さすがにタネは明かせないので、全員に目隠しをしてもらって、エンパニアの領主の館へ移動した。
「ここは?」
「領主の館!私の家よ?」
領主の館へ戻ると、私の娘メルティを呼んで、事情を説明した。保護した11人は家で面倒を見る事と、私の嫁候補のエミリィを紹介した。
11人の面倒は、セルフィーさんに見て貰う事にして、エミリィとイリアには手伝いを頼んだ。そして……私とアマンダお姉様は、最後の町メルネス子爵の家族が住むというメルネニアの町へ移動する事にした。
◇◇
メルネニアは、カラックの村から東に行ったところにある海洋都市らしい。
私の海洋都市エンパニアを小さくしたような町らしいので、見れば分かるという事だった。
いったんサイズの町に戻ってから、「転移の扉」を回収し、サイズの町から南の位置にあるメルネニアを目指して、私達は空を飛んだ。
メルネス子爵について、今までの調査で分かった事は、真っ黒だったという事だ。
なので、女の子にして生き返らせるなんて事はしない。生き返らせたって碌な事にならないだろう。
「これで最後の町だね」
「見えて来たよ?」
あれが、メルネニア!
城塞都市という言い方が正しいと思うくらい立派な城が建っていて、町の周囲には高い城壁が幾重にも渡って建造されていた。
まるで、戦争をするみたい……。
町には騎士や傭兵のような荒っぽい人が集まっていて……何時でも出撃出来るようになっているようだった。
「増税の原因ってこれ?」
「これ程の軍備……平時ではありえないねぇ」
メルネスは戦争を起こす気だったって事?これはもう誰も擁護出来ないわね。
でも、戦争の相手は誰?旧メルネス子爵領の周りは、旧クラディア辺境伯領とターコイズ公爵領に挟まれていて、南には海しかないはず……。
北には、魔物の森があって、その先には旧クロズフィルネ男爵領、今はセルクロッド伯爵領しかない。
まさか……魔物の森を抜けて、セルクロッド伯爵領を狙っていたの?
でも、国内で戦争なんて、あの王様が許すはずがない……だから……反逆罪で死罪となったのね……。
私が調査するまでもなく、メルネス子爵は真っ黒だった訳だ。
ならば、やる事は決まっている。
「内部から制圧するわよ!」
私は、城を直接制圧する事にした。
空を飛んできた私達は、城の上階に直接着地した。
門から入る必要なんてない。今日の目的は城の制圧だ。
「上から順に行きましょう?」
「臆病者ほど高い所に上るからねぇ」
王宮では、大抵一番偉い人が高い位置の部屋を選ぶ事が多い。
高い位置から愚民を見下ろしたいのか知らないけど、まぁそういう事よね?
城の上階を散策していると、化粧で塗りたくった水色の髪で青い目のおばさんが出て来た。
「何ですか!貴方たち!ここは王族しか入れない場所です!汚らわしい!下がりなさい!」
あらら……自分を王族と勘違いしているみたいね?
「あなたは、アルネ・メルネスで合ってる?おばさん?」
私が、名前を確認すると、化粧を塗りたくったおばさんの顔が引きつった。
「おーほっほっほ!当然です!ですが、わたくしを呼び捨てするとは!死んで詫びなさい!」
アルネが火炎魔法を放ってきた。なるほど、ただの女狐じゃないって事ね?
「アルネさん!バッカネン・メルネス子爵は死んで、貴方の野望は潰えたのよ!?無駄な抵抗は止めなさい!」
「あの人が、死ぬ訳がありません!この!死ね!死ね!死ね!死になさい!」
メルネス子爵の死を受け入れられないのかしら……。だったら、これは……やりたくなかったんだけど。
私は、「開いてもボクっス」からメルネス子爵の体を召喚して、アルネさんの前に置いてあげた。
「メルネス子爵の遺体よ?返すわ!」
「きゃあああああああああああ!あなた!あなた!起きて!起きて!なんで起きないの!?あああああああああああああああああ!!!」
「分かったでしょ?メルネス子爵はもう、いないのよ?」
「貴様!き、さ、ま、が殺したのかぁああああああ!!」
アルネさんの顔は、血走って血管が浮き出ていた。
「違うけど?王都で処刑されたのよ?」
「許さない……絶対に許さない……殺す!殺してやる!!」
もうこの人は駄目みたいね……。
「アマンダお姉様……ごめんなさい……私には無理」
「仕方ないねぇ」
私は、後始末をアマンダお姉様に託した。
「ほれ!捕縛するよ」
アルネさんは捕縛魔法に捕まって、アマンダお姉様に気絶させられた。
私は、またメルネスの体を仕舞っておいた。このまま放って置くのも悪いし。
後は、集めた傭兵やら、軍隊を解散して終わりだ。
「ここの責任者は他にいるの?」
近くに来たメイドさんに聞いてみたら、執事のような人がいて纏めているようだった。
「そう、ではその執事に言って?城の中庭に全ての配下を集めなさいって」
「はい!伝えてきます!」
城の中庭に兵士どもが集まってきていっぱいになったころを見計らって、私は城の中庭が一望出来るバルコニーで演説を行った。
「私は、この領地の新しい領主!マリィ・エイシェルト辺境伯です!メルネスは既に処刑されたので臨時の兵士や傭兵は解散!さらに旧メルネス子爵領の税金は今後2年の間免除とします!関所は全て廃止し、自由貿易を行います!さあ!自分の町や村へ帰りなさい!そこに自由が待っています!」
「「「「「「「わあああああああああああああ!!!!」」」」」」」
「やっと村に帰れる!」
「税金払わなくていいのか?」
「俺は帰るぞおおおおお!!」
「俺も実家に帰って働くぜ!!」
「俺も!」
「マリィ・エイシェルト辺境伯!万歳!」
「「「「「「マリィ・エイシェルト辺境伯!万歳!」」」」」」
「「「「「「マリィ・エイシェルト辺境伯!万歳!」」」」」」
「「「「「「マリィ・エイシェルト辺境伯!万歳!」」」」」」
こうして、旧メルネス子爵領の掌握は完了した。
残りの9か所の関所は役人に廃止の通達を出しておいたのですぐに無くなるだろう。無くさなければ実力行使で捕えてくるだけだ。
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。
続きが気になると感じて下さいましたら、
☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。
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