予言保険

水瀬 光

予言保険

暇を持て余した男がいた。男はまだ若いが仕事をしておらず、一日の大半をネットサーフィンに費やす生活をしていた。


ある日、いつもどおりネットサーフィンをしていると、見慣れない広告が男の目に入ってきた。


「予言してみませんか??予言保険付きだから外れても安心!」


予言保険・・・?はじめて聞いた言葉の物珍しさに男はその広告をクリックした。


すると、黒い背景に白文字のみの怪しいサイトが開かれた。


サイトの上部には、長方形の枠が縦に二つ並んでいた。上の枠には予言を入力し、下の枠には住所と名前、年齢を入力するらしい。


枠の下には注意事項のようなものが書いてあり、

もし予言が外れた場合は当社が責任を持ってその予言を保障すること、保険料はかからないこと、予言をする際には何年の何月何日に実行されるのかまで細かく入力するように書いてあった。


予言なんて人生でしたこともしようと思ったこともない。でも、これはチャンスであると男は思った。大金を手に入れるチャンス。


男は勇んでキーボードを叩いた。

「20××年〇月△日 飯塚武史は100億円を手に入れる。一生働かずに暮らす。」


飯塚武史とは男の本名である。最短で100億円を手にできるように日付は明日にした。


そして、下の枠に住所や名前などを記入し送信ボタンを押した。


男は喜んだ。自分が何もしなくとも明日には100億円が手に入るのだ。一生遊んで暮らす想像をしながら眠りについた。


数日後、飯塚武史の両親は自宅のリビングのテーブルで向かい合っていた。

父親は疲労で生気がない目で、母親は泣きはらして真っ赤になった目で通帳を見ている。


「100億円の生命保険なんて、あの子いつ入ってたのかしら」

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予言保険 水瀬 光 @hikari_m

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