大団円への道のり

第1話 インフレするお金とゆっくりおねんね

ディンゴの巨大戦艦で悠々とジダンへ凱旋。アキちゃん派の熱烈な歓迎を受けてドックへ入港。そしたら一気にディンゴが持つガレージに移動した。危ねーこれテレポートだよ。


「すまん。ただこれは一度人が消えて再生成されるテレポートではなく、高速移動に近い動作だ」

「でも怖かったのは事実だよー。しかし、ドックに入ってからの動きって急なんだね」

「こうやってドックに入ってすぐ上級ガレージに移動させちまうのが巨大戦艦を運用する際のコツだ。上級ガレージの中は外とは別空間なんだ。といってもお前が入れるようなつなぎ方だが。それで、巨大戦艦や各種戦闘艦を十分に係留できるスペースがあるってわけだ」

「ほへー。5層の人もこんな感じなの?」

「らしい、としか。噂によれば超巨大戦艦や超巨大空母を保有しているらしい。俺たちでも5層にはたどりつけねえと思う」


へー。なんとも難しいんですなあ。


このあとは真っ先に傭兵の館だ! ディンゴに二人で深くお礼をして泣かせた後、急いで傭兵の館へ。普通に再召喚可能なので召喚してもらった。


「よう大将、まってたぜえ。前回の戦いでは傭兵らしさを存分に見せつけられて良かったぜ。倒れちまったのはふがいないけどな」

「お二人ともご無事で、傭兵として本当に良かったです。私たちの死は無駄にならなかったと安堵しています」

「アルダスさんとルウラさん、ありがとう。またよろしく。真っ先に防具買おうね」

「おじちゃんとおねえちゃんありがとうございます」

「またおじちゃんかよう、泣いちまうぜ」

「お姉ちゃんとか、かわいい。嬉しいです」


 というところでジュディからメール。


『返事遅れてごめん、課題がいっぱいあって。今回送るのはみんなで交易して集めたお金だよ! 無理してないから受け取ってね!』


と、15万ドルエンも頂いた。ただ、Orderから印税で800億ドルエンも振り込まれたので、金銭的には微々たるものであるが。投資が帰ってきたこと、みんなが頑張ってくれていることが何よりも嬉しい。


というか、800億ドルエン手に入ったのである。しかもシリーズ物だから書けば書くほど利益が出る。Orderには「戦士ドクの防衛戦争」というシリーズを前回の印税権利のまま書いているので多分もう一回入る。ディン……アキちゃん派閥には「ドエクサ騎士団の反逆」という新シリーズを書いたのでこれも800億くらい入ると思う。

小説には完璧な自信があるからね、強気の計算である。印税さほど引き上げてないのにこれである。税率を引き上げれば一冊1000億ドルエンも夢じゃないかも。


これだけもらえるとスキル全部Lv10まで買えそうだ。

ちなみにステータスは十分に伸びていて、すでに1ポイント1億ドルエン位するのでお金はいくらでも欲しいっちゃ欲しい。


お金と言えば防具の更新だ。私はサイバースーツマークスリーを、アルダスさんはミスリル超合金の鎧と斧。ついでに私の短剣もこの金属で作る。

ルウラさんとアキちゃんはアダマンテール超硬化糸を織り込んだ布で作って貰った。

お金はいくらでもあるからな! がはは!

あ、あとオーダーメイドの高級な靴も買った。靴は特記するくらいには大事。


さすがにすぐにはできあがらないのでその間に家を作ることにした。


3層じゃなくて、4層に建てるよ。何せお金がある。

以前は4層に上がれなかったけど、4層に上がれるくらいの実力と認められたので4層に上る。そこは豪華な邸宅が並んだ上流階級の街並みだった。現世が懐かしい、私もこういうところに住んでいたのだ。

4層は地価が高いし4人で暮らすだけなのであまり大きくない家を建てることにした。

土地は25億ドルエンで買ったけど、邸宅はこれから。これも時間がかかるので、3層の安全なホテルにとりあえず住まうことにした。っておい、従来と変わってねえぞ、ホテル暮らしじゃねえか。


とりあえず何もしないのはもったいないので、今までの疲れを取ることにした。カルダール紛争での疲れはとれてないし、オーバードライブによる消耗はすぐにとれるものではない。アルダスさんとルウラさんの強化訓練はアマール付近でも上がらなくなってるしね。


「ぷっはー、やっぱ温泉だよ」

「この後マッサージも待ってますよ。救命ドックで意識洗浄も行いましょうね」

「はーいアキちゃん先生」


日頃の疲れは本当にたまるもので、色々やってもらうたびにぐっすり眠ってしまう。

スパしておねんね、整体しておねんね、意識洗浄しておねんね、鍼やっておねんね、エステですらおねんね、である。


「おねんねするのが仕事みたいだ」

「お仕事です!」

「そっか。あー外向けの小説も書かないとなあ。私の騒動で株価下がったみたいだし」


最新電子パソコンを入手してバリバリ打ち込む。内容はここでの物事を書いた小説。ゲームな部分も多いけど、かなり異世界だもんよ。

こっちの時間で二週間くらいで仕上がったので送信。現実の半日とちょっとで書き上がるんだから早いものである。意識加速に特化したカフェなんかは倍率がめちゃくちゃ凄くて一日が1年2年とかざらにあるけどね。


3本ほど書いて送ったところであちら側に動きが。TSSの買収に成功して、サーバーの強化をするらしい。このゲームの始まりは40年以上前。とても古いゲームでもあるので、分散型のサーバーではなくメインサーバーが何個かある感じのサーバー構成なのである。まぁ、何個かが数百あるそうだか。

サーバー強化をするにあたって一時的にサーバーの動きが悪くなるところが出るらしい。サーバーを移すからそうなるんだって。

く、理解が追いつかない。


そんな訳でサーバーが順次ダウンしていったその時である。


「ご主人様、ジダン西方数百キロにものすごく大きなバグが出ました」

「まじか! ついにラスボス……そっか、本気だす時か」




アキちゃんが顔面蒼白でガタガタ震えるくらいのバグが出現したらしい。

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