第4章 アマールで転職だ! 転職できればですが……。

第1話 大事なことを確認

 今私たちはアマールの方に向かって、GTWー100に乗って旅しています。

 ジダンは、ジダンからどこかに出かけるなら交易しろってくらい交易が盛んな場所。ご多分に漏れず私たちも交易してるってわけ。


 GTWー100に乗せているのは穀物が3つ、2万ドルエン。これが精一杯で買った品物。じゃあ30でいいじゃんってなるんだけど、代行輸送というものが存在しておりまして。

 交易所があるところなら遠隔売買が出来るスキルがあって、物は動かないけど取引をしている人が上級交易プレイヤーの中には存在します。

 彼らが実際に物を動かすときには自分で行わない。取引している方が儲かるし安全だから。代わりに輸送するのが代行輸送。


 カミカゼなどにあって弁償になるリスクはあるけど、物を運ぶ隙間に入れるだけでもいいし、そこそこ利益にもなる。

 なので100まで増量して運んでいるのだ。

 中身は全部穀物。アマールは全域においてあまり穀物栽培に適した土地ではない。穀物などの自給自足が出来ず、穀物や食べ物を大量に輸入している。ジダンの高い穀物でも十分利益が取れるというわけ。


 今回は巨大輸送船にくっついて移動してるよ。ほかにも何隻もの船がくっついてる。船団を組んだ方が攻撃されるリスクが減るからね。

 私は一番上に飛んでる。というのも。


「翼竜アマンデス確認。処分に入ります」


〈よろしく頼む!〉


 巨大輸送船と小さな船に無線が交錯する。


 GTWー100に付属されている銃座に乗り込み、14ミリヘビーマシンガンを構える。


「狙う。ショットします」


 ガガガガガ!


 凄い音が鳴り、翼竜の翼に銃弾が吸い込まれていく。

 翼竜は大抵、翼の部分に魔法を掛けて飛んでいる。そこをボロボロにすれば自然と落下して、しんじゃう。


「処分終了。船内に戻ります」


〈今回も助かったー!〉


 巨大輸送船には武装が着いてないのがほとんど。可能な限り積載したいからね。

 かなりでかいので、翼竜が邪魔してくることがある。その護衛を引き受けたのだ。

 GTWの100クラスに、銃がくっついている銃座があるタイプは珍しくて――大抵弓専用の銃座なんだわ――、レンタル屋さんが駆けずり回って探してくれた。ありがてえっす。


「大将、弾足りるかねえ? 巨大輸送船は遅くて、アマールの中心都市スビアナまで12日かかるんだぜ」

「うーん、足らなくなったらマジックキャノンでも取得して、トリプルショットで打ち落とすよ。ルウラさんにも頑張って貰ってさ。マジックキャノン代は必要経費っしょ」

「買ってないってことは高いんだろ? 儲かるといいんだがなあ」

「いや、5Lv一気に取得して3250くらいだよ。予備費で十分まかなえる。私は銃メインだからねーとりたくないなー」


 ズコッとこける虎さんときつねさん。取っちまえよっていう圧を、二人から感じる。


「できるだけ温存温存」


 その後も翼竜を落とし続けた結果。


「次で弾薬なくなるねえ」

「あと3日もあるぞ大将」

「取るしかないか。私の火器じゃ翼竜には通用しないし」

「きゅーみりあさるとでもだめなんですか?」

「翼竜は固いし、遠距離を飛んでるからね。9ミリアサルトと、14ミリヘビーの銃弾の大きさって十倍くらい違うと思うな」


 14ミリヘビーは重火器だからねえ。


 弾を使い尽くし、3日間で出た翼竜は一匹。確かに凄い火力と飛距離で一発で落としたけどさ、一匹に3250ドルエン。3250ドルエン。3250……。


 さあてアマールのスピリアに到着! 交易所に直行して穀物の売却! 3万ドルエンでしたー2万ドルエンで3つ所持していたので、3万ドルエンの儲けですね!

 輸送代行のお値段が9700ドルエン。片道ざっくり5000ドルエンくらいレンタル費用と銃弾代がかかったので差し引いてざっくりと4600くらいの利益かな。一応儲けが出たね。

 護衛代金1万ドルエン。天引きされたお金を差し引いても2万6千ドルエンほどの利益!


 ホーミング付与の500ドルエンを貯めるために必死で苦労していた時期が懐かしいくらいお金が入る。一年とちょっとレクチで頑張って、お金じゃなくて信用を得たのがめっちゃ大きいと思うなあ。

 最近はスキルの代金も跳ね上がってるし、何かと物入りだから、節約志向は続けないとね。天引きされなかったら大幅に利益出ているみたいだし、ほかと比べると収入は少ないのだ。


「さてスピリアに来たら転職だな! 大将が何になるかはわからねえが」

「転職先なしってのも考えられるよね。アルダスさん達みたいな傭兵さんは転職できるもんなの」

「ああ、出来るぞ。実力が転職先に伴わんと駄目だが。ここは魔物が強いしインスタンスダンジョンもあるから実力を上げるのに最適だぜ。まあ、強化訓練するから手伝えないが」

「転職には捧げ物などはありません。可能なら転職させていただきたいのですが」


 もちろんオッケー。二人同時に強化訓練すると戦力が心もとないので片方ずつ強化訓練に入って貰うことにしたよ。


「ところで転職先は決めてあるんですかい?」

「俺は虎人だ。虎人種と、種族名にはすでに書いてあるが、俺は最初の街出身だから職業がねえ。虎人のほかにも狩虎かりとらなんてのもあるが、バランスよく上がる虎人がいいな。パワーだけなら狩虎だが、パワーならお嬢が持ってる。俺はパワーもあるお嬢の壁になりたいと思う」


 熱意が凄い。アキちゃんちょっとうるうるしてる。いい傭兵さんと出会えてよかったなあ。


「私はビジョップです。職業は以前雇用された際に魔法使いとされたのですが、それを回復と補助および支援に特化させていきたいと思ってます。ゆくゆくはアークビジョップにまでいきたいですね」


 ルウラさんの優しさが凄い。アキちゃんちょっとニコニコしてる。優しい傭兵さんと出会えてよかったなあ。


 ちなみにアキちゃんは名目上ペット扱いなので転職とかはないみたい。


 さて、みんなでジーンとした後は転職神殿へ。力が足りてるか足りてないか、私の条件は、など、先に聞くことがあるからね。



 転職神殿は賑わっていて個別での順番待ちだった。といっても案内がスムーズですぐに転職神官という人と出会えたけど。


「こんにちは、よろしくお願いします。今回は転職条件を満たしているかです」

「わかりました。それでは視てみます。んん? 普通の人とは違いますね」

「普通じゃないのは確かです。視るの難しいでしょうか」


 バグっちゃって無理かなー。


「いえ、視えにくいだけです。うーんと、オオキシモノヲイッタイタオセ。うーん、こんな曖昧な条件視たことありません」


 オオキシモノ。大きしもの。4大精霊。一体。


「わ……たしには理解出来ますね。馴染んでる職業ですから」

「そうですか。今回はこれでおしまいですが、もっと力量のある人もいるので、また来てみてくださいね」

「はい、ありがとうございました」


 かなりの手応えを感じつつみんなと合流。アルダスさんはすぐに転職できたので転職してしまったそうだ。そりゃあこの強さで職業なしの方が変だもんね。ルウラさんはもう少し修行が必要とのこと。

 私は多分4大精霊を一体倒せと言われたこと、ここにはインスタンスダンジョンがあって、まだ中層などには手を付けていないこと。サラマンダーを倒した後その区域にはバグが出ないことのようにおそらく内部でクラス分けがあって、ある程度の強さのクラスに入ったら4大精霊が出現するであろうことを述べたよ。


「残りの4大精霊ですか。ジンとドリアードですね」

「え、土のノームはいないんですか?」

「現実世界のことはあまりわかりませんが、この世界だとドリアードが土と木を兼務しています」



「うわ、土と木は関連あるから実装面倒で一緒にした感じがする」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る