完全にゼロから始める異世界ゲーム生活~VRMMO始めたのはいいけど、バグって農民スタートだった。私だけお金で全職業のスキルと補正が買えるので、何もかも買いまくって一般プレイヤー以上に強くなります~
第11話生き残れた、それだけが正しい。ベストだぜ
第11話生き残れた、それだけが正しい。ベストだぜ
「――というわけで、あの状況で生き残れたと言うことだけが正しい。どうしたもこうしたもない、ベストだぜ」
「でも、みんな死んじゃったのにベストって言うのは」
デキアルさんはそう言うが、あれの、あれのどこがベストだというのか。
「武器と防具と敵ってのはだな、強かったらそれ以上に強くなるしか勝つ手段がないんだぜ。現実世界の兵器を見てみろよ」
「現実世界ですか。戦車とか航空機とかでしょうか」
「そう。敵が強いのを作ったからこっちも強いのを作る、そしたら敵がもっと強いのを作ってだからこちらももっと強いのを。これの繰り返しだろ。そういうもんなんだ。生き残ったなら勝ったんだ、ベストだ」
「そう、ですか」
ここまで厳しい顔だったラデアスさんは少し顔を緩めて、
「まあ、被害が出たら今度はもうちょっと被害を少なくすると言う考えは正しいよな。じゃあそれにはどうする?」
それは――
「敵より強くなる、ですか」
「グゥレイトォ! そういうことだ。もっとよい防御、もっとよい武器、もっとよい強さ。防御はネコチャンがやってくれてるはずだろ、うちにはなにがある?」
「――武器。しかも人類が生み出した最高の武器である銃火器」
ラデアスさんはグッドサインを私に突き出して。
「YES!! ここにはハト退治用のピストルから装甲車を貫通するアンチマテリアルライフルまでなんでもそろってるぜ。あんたのスキルは特殊らしいからな、スキルとよく相談して決めてくれ」
「こんな感じですかね、スキル買うのも金が要りますし、防具も買いますから」
「10ミリフルオートピストルに8番ショットガン。良い選択だと思うぜ」
スキルは反動軽減をLv2、そしてオートロードをLv5にしたよ。
10ミリフルオートピストルは完全魔導銃というやつで。弾丸が一切いらない。魔法の弾を自分のマナで生み出し、自分の魔力で押し出す機構になっている。
いわゆるマガジンではなく、マナを貯め属性を付与するタンクが付いている。
撃ちきったらタンクを取り替える形で使えば普通の銃らしく使うこともできるけど、撃ちながら自分でタンクにマナを込めることができるのだ。
マナがある限り撃ち続けられるスゴいヤツ。
オートロードのスキルはマナを込めるときにも作用するというわけで思い切ってLv5まで取得した。
ちなみに、フルオートピストルは、拳銃ではないけどサブマシンガンでもない、その間の銃。昔はマシンピストルとか、パーソナルディフェンスウェポン、頭文字とってPDWと呼ぶ時期もあったらしい。今ではPDWは廃れてるかなー。
8番ショットガンは魔導誘導方式のショットガン。
ショットガンは数字が低くなるほど強力になり反動が強くなる。
反動軽減をLv2まで取り、通常の火薬より発射時の反動が弱い魔導誘導方式にすることで8番を扱えることができたよ。魔導誘導ってのは、魔力で弾を引っ張って発射する方式。現実世界では電磁誘導アサルトライフルとかが一般的に使われてる。
現実世界なら8番なんて使うところがないと思うけど、アメリカに生息する巨大熊グリズリーより凶悪でデカい魔物が生息するこの世界、6番や4番あたりまで普通に使われているとのことだって。
ちなみにライフルもかなり強力なのがあるけど、銃系統の職業が少ないこの世界だと取り扱っている店が少ないとか。代わりにショットガンは結構どこにでもおいてあるんだって。
「これで武器はいいだろう。ナイフも壊れてるはずだから、ナイフも買っていけ」
「ナイフも取り扱っているんですか?」
「狩猟するにはナイフは必須だからな。剣屋だけじゃなく弓屋でも銃屋でも扱ってるさ。短剣兼剥ぎ取り解体兼だと……これかな」
そういって見せてくれたナイフ。
それは見るからに頑丈そうで、刃渡りのある片刃の……短剣?
だった。
「かっこいいですね、青光りしています」
「ラフレール鋼という、フランス人が見つけたラフレール鉱石を含んでるからな。鋼鉄よりも軽くて強度もそこそこあるし切れ味が良い。それに『キーンエッジ』エンチャントを付与してある。片刃なのは指で押しきるときがままあるからだな」
「エンチャント持ちですか! 初めて見ますね」
「腐ってもレンズクは大都市だからな。お金さえあれば結構なんでもそろうぞ。んでまあ、刃渡り20センチメートルとかなりデカいから、剥ぎ取り解体スキルはLvあげておけよ、それで無理矢理やるからな」
「わかりました、ありがとうございます!」
この3つと消耗品を合わせて10000ドルエンで買い、店を出る。
宿に帰るわけだけど、人が結構いた。私目当てなのは当然だろね。
まだお金もあるし気配隠しのパッシブをサクッとLv5まで取得し、こそこそと宿の中へ。
「アキちゃぁぁぁん」
私は宿の中でおとなしく待っていたアキちゃんにダイブ!
「ぶわぁ! どうしたんですかごしゅじんさま!」
「疲れた。人生に疲れた」
「よしよし、です、ごしゅじんさま」
あーもー! アキちゃんは天使のきつねだなあ!
アキちゃんに慰められて、今度は違うお店へと行く決意をする。
アキちゃんが知っているという、極めて変なお店だ。生まれ出たの最近だよ?
アキちゃんはその素晴らしい体を使い三階の窓からひょーんと外へ出る。
電柱ならぬ、魔力を伝搬する魔導柱があるのでそこをぴょんぴょんと跳んでいく。
バレないなこれなら。
私は気配隠しとフード付きコートでこそこそと外へ。
遠くで合流し、そのお店へ。
「『謎の店Lv1』。これは、なんていうネーミングセンス。壁に穴掘ってそこを店とするとか。凄い。意味がわからない」
「でも謎に隠れているお店ですよね! ごめんちゃらすー」
よく分からない呼び声に応えて出てきたのは、顔を布で覆った謎の商人。
サテンの布の服と相まって砂漠風の衣装に見えるなあ。
「ヨウ、お前か。ヨウケンはなんだ」
「マジックバック系でいくつか!」
「ふぁっ!?」
思わず声が出た。マジックバックはエンチャント付与の上級者しか作れないので高価なのだ。
「あるの? アキちゃん」
「ありますよー。ここは何でもあるんです!」
商人が口を挟む。
「ま、店のLvに応じてだがな。さてと、どういうやつが良い」
そう言って店の奥から取り出してきたのは、バックから肩掛けポシェットまで本当に何でも!
「わわわ、凄い」
「わたしが見立てちゃうとですね。ごしゅじんさまは野営用の道具が入るバックパックとマガジン入れの腰ベルトに吊すポーチ、ポーション入れポーチ。これは必須です」
――そう、私達は旅に出る。
「戦闘中のマガジン交換がしやすいやつと、マガジンをとりあえず保管するやつか。ポーションはすぐに使える場所にあった方がいいし。確かにそうだねえ」
「Lv1じゃまともなヤツはナイが、こんなもんならアルゼ。モノは良いんだが、エンチャントがヨワイんだ」
と言って出されたのは私サイズの小型バックパックと、右につけるマガジンポケット、左につけるマガジンポーチ。あと左右どちらにもつけられるポーションポーチ。
容量は小さいみたいだけどそれでも二倍は入るみたいだし、完璧やないかい。
アキちゃん用の肩掛けバッグもアルダスさんとルウラのバックもついでに買って25000ドルエン。かなり使っちゃったな。
次はどざぁるちゃんか。宿引き払ってどざぁるちゃんのとこで寝泊まりしよっと。
「押しかけておいて寝てるだけとか酷すぎるにゃ。でも、完成したにゃ! 全身ブリガンダイン装備と、拳法着! ブリガンダイン装備はちゃんとにょい素材を使ってあるし抜けるところは抜いてあるからさほど重くはないはずにゃ!」
というわけでお着替え。
「わー拳法着すっごくうごきやすいですー!奥義・しゅうざん――」
――やめてー!
必死に飛ぶついて技を止める私。
「ごめんなさい、つい。でも私に飛びつけたあたり、本当に動きやすいんですね!」
「ま、まあそうかもね。でも技をだすのはダメダヨ」
私がアキちゃんをたしなめていると、
「まあ、なんともないんなら良かったにゃ」
「そうだね、どうもありがとうどざぁるちゃん。お代はこれで良いんだよね?」
「地味に赤字にゃけどよいにゃあ。よい旅になるとよいにゃあね。あ、これ。メイド服のARチップにゃ。アキちゃんはメイド服が良いにゃね」
「うわーありがとうございます!」
お礼を言って喜ぶアキちゃん、早速装着してメイド姿になった。嬉しそうだ。
「雪菜にはこっちにゃ。上は水色で袖は白、頑丈なコルセット形状の革の腹巻き、足下にまで流れる前開きの腰巻きは右側は水色で反対側は赤色。赤い前垂れ。すらっとした白いパンツに膝下までの革製ロングブーツというスタイル。片手に銃を持った
「本当!? 何から何まで本当にありがとっ!」
早速試着する。凄く綺麗な質感で、優雅だけど鋭さがあって戦闘しそうって感じのスタイルだ。かっくいぃ。
――じゃあ、行ってくる。
そうやって、私達はレンズクをあとにした。
こっそりと。
ひっそりと。
噂から隠れるように。
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