三人の飛行機

1話

1901年

夏の明るく光る太陽の下で木、布とエンジンでできた機械が横たわっている。その周りに十数人の若い男女がいた。

（ププププ、プス、ゴオーン、ゴオーン）

1人の男が鉄の塊（エンジン）にうねりを上げさせた。すると5、6人のがたいのいい男女がその轟音に号令されたように横たわる機械を起こし始めた。そこへ1人の女が金髪の長髪を、黄金の小麦がそよ風にサワサワと乗るように、風に波がしながら向かう。その様子を体が少し横に広い力強そうな中年男が見ている。彼女が機械の近くに来るのを見る。

「えいよ、」

中年男に担がれ金髪を揺らしながら女が機械の重心付近に仰向きに寝ていく。そして男が女の耳元に、

「お嬢様、大丈夫ですか？」

綺麗な顔に満足感と不満感を表して、

「ええ、大丈夫ですわ。だけどお嬢様はやめて、私は領主よ」男は思い出された感じで、

「は、はい、わかりました。領主様。でわ。」

男が離れていく。エンジンを操作していた男が領主様に近づいていく。

「やあ、エミリー今日はいつもよりエンジンの調子がいいようだ。縁起がいいな」

エミリーは美しい顔に春の太陽のように優しい笑顔で言う。

「ええ、そうみたいね。うまく行くわ。」

彼女の返事に無邪気に若い男が答えた。

「そうだ！僕たちの夢まであと少しだぞ！」

彼女は無言の笑顔でうけ取った。男は彼女の笑顔を作る長い金色の睫毛、真っ白な白桃のような肌、髪より少し濃い黄色の美し目に見惚れている。そして、ふと我に帰り機械の周りに目を配り、親に褒められた子供のように、自身の満ちた声で。大きく口が空いて。

「それじゃあ行くよ、"皆さん飛行機をおしてくださーい"」

1人の男の掛け声が周囲の者達に届く。

金髪の美女以外の者が飛行機の翼の部分に規則正しく並んだ。そして、踏ん張った声で。

「せーの」

飛行機の周りに人のうねり声と共に重々しい飛行機が堂々と、偉そうに少しずつ少しずつ速度を上げて動き出す。男がエンジンの上に乗りレバーを倒す。速度が上がりだす。傾きがほとんど感じられない一次関数のように上がる速度上昇から。いっきに指数関数なみの速度上昇をした。飛行機の速さに追いつけなくなって皆手お離す。

飛行機は石が水面上を水切るかのように跳ねていく。跳ねるたびに木の軋む音が、スキー板のような板が草と地面を荒々しく滑る、飛行機全体が風を切っていく。跳ねる高さがだんだん大きくなる。初めは子供の膝ほどしかないジャンプが大人の腰ほどまでになっている。エミリーが近くにあるレバーを引く。空気が彼女を押し付ける。水切りしていた石が水の中に落ちるように、飛行機は大空に吸い上げられるように上昇する。

飛行機は人類の夢、3人の夢を担いで飛んでいく。